福西 亮馬
中学年(2年生と3年生がいます)のクラスでは、「マイル通帳」というものがあります。
ドリルを1ページすると「ご預」マイルが1増える、という代物です。ずっと昔は地図の上に1マイル分の線を引いて旅行しながら、「旅費」という意味があったのですが、今ではそれも消えて、ただ「マイルがたまっていく」ことに満足を覚えています。
そのお金で何が買えるわけでもないのですが(一時期クワガタの絵が買えることもありましたが)、かえって何もない方が2年生・3 年生の素朴さには合っているように思います。
内容は算数ドリルなので、100パーセント面白いようなものではないのですが、それでも生徒たちは気よく、お山を登ってきてくれます。私も、登ってくる彼らにこたえたい気持ちから、面白くできるような工夫がないかと、何かこしらえては教室で待っています。
ドリルを見ていると、私はときどき、「お母さん」と呼ばれることがあります。お家で宿題を見てもらうお母さんのイメージが教室に現れるのでしょう、「これどうしたらいいの?お母さん」と言われます。そんな時、さりげなく光栄にもお母さん役を演じさせてもらっています。
一方、秋学期に新しくできた高学年のクラス(5年生と6年生がいます)は、中学年よりも少し大人びた雰囲気になってきます。「ここが分からないから教えて欲しい」ということを自分から言ってくれます。また、一度私が遅れてきた時でも、あんまり静かなのでまだ誰も来ていないのかなと思って戸を開けたら、ちゃんと自分たちでドリルを開けて、静かに始めていました。なるほど勉強をしに来ているのだという自覚が見られます。
ちょうど一つの学期でドリルが1冊終わりました。今はその中から間違った問題を拾いあげて、確認テストをしてもらっています。また一冊終わるごとに小さな賞状も渡しています。それが2 枚、3 枚とたまっていくにつれて、自信の種になってくれたらいいと思います。
(2005.11)