お山の絵本通信vol.10

──なつかしい絵本と先生のこえ──

『もうすぐおねえちゃん』
しみずみちを/文・山本まつ子/絵、岩崎書店1975年

もう少しすれば、私はお姉ちゃんになる。ちょうどそんな時、出会った絵本です。

母は私によく絵本を読んでくれました。
悲しくなる絵本、うれしくなる絵本、私自身が「読んで!」といって母に渡した絵本、季節や時期に合わせて選んでくれた絵本。
色々読んでもらった中の一冊で、一番印象に残っている絵本がこれです。

「もうすぐおねえちゃん」──母を独り占めにしていた私。母は、お腹の中に赤ちゃんがいて、「あなたも、もうすぐお姉ちゃんよ」と、この主人公のみほちゃんと同じ環境の中にいる私をだぶらせ、見せ読んでくれたのだと思います。
絵のタッチも柔らかく、今の自分と同じ境遇であったので、すごく印象に残った絵本の一つになったと思います。

内容の方は、普段のお家の中にあるお話で、特別な内容ではありませんが、みほちゃんが赤ちゃんの面倒を見てあげて、こんなにもかわいいのかと、今までの自分のわがままな面を反省するところもみられ、ちょっぴりお姉さんになる自覚も目覚めていくように感じ取れます。

そして、絵本を読んで「はい、良かったね」で終わるのではなく、絵本を読んだ後に、お母さんと子どもが、話し合える内容、そこがポイントになっていると思います。

私も絵本を読んだ後、母と二人でお話をたくさんしたことを覚えています。これからお話の続きを子どもと、そしてちょうどその境遇に出会った方に、ぜひ見て読んで、続きをたくさん話し合っていただきたい一冊です。

文章 Tomomi先生