『たろうのひっこし』
村山桂子/文、堀内誠一/絵、福音館書店1985年
幼い頃、読んだり読んでもらった絵本の中で、一番印象に残っている、大好きなこのお話を、みなさんにご紹介したいと思います。
私は三人兄妹の末っ子です。幼い頃は、姉と一緒の部屋ですごしていましたが、「自分だけの部屋がほしい!!」と、いつも思っていました。
そんな時に読んでいた『たろうのひっこし』は、大変わくわくするものでした。おままごとの大好きだった私は、同じように敷物を用意して、家の中を歩き回っていたことを思い出します──。
ある日、たろうが言いました。
「ねえおかあさん、ぼく じぶんのおへやが ほしいな」
するとお母さんは、古いじゅうたんを持って来てくれました。
「このじゅうたんを ひろげたところが たろうのおへやよ」
それからたろうは、じゅうたんを持って階段の下へ行き、広げると…たろうだけの部屋が出来上がりました。そこへ猫のみーやが、お客さんとしてやって来て、たろうの部屋を、「すてき」と言ってくれます。
でも、みーやは、「まどがあれば もっといいのにな」と言います。そのリクエストに答えて、たろうは、じゅうたんをくるくるとまいて、おひっこしをします。それから、いろいろな動物のリクエストに、答えようとしたたろうは、動物達といっしょに、どんどん、おひっこしをしていきます。
最後のお客さんは、お友達のまみちゃんでした。まみちゃんのリクエストは、「みんなであそべるおへや」でした。そのリクエストに皆も大賛成 !! 桜の下におひっこしをして、皆でおやつを食べたりジュースを飲んだりして楽しくすごし、皆も大満足でした。
動物達のどんなリクエストにも、「そんなことならかんたんさ」と言って、おひっこしをする、たろう。どんなお部屋にも、お客さん達は、「わあすてき!」と言ってくれました。自分だったらどんなお部屋におひっこししたいかな? おもちゃのたくさんあるお部屋? お友達もたくさんいるお部屋?
楽しい想像がいっぱい、膨らむ一冊です。
文章 Rumi先生