『ちびゴリラのちびちび』
ルース・ボーンスタイン/文・絵、岩田みみ/翻訳、ほるぷ出版1978年
みんなは いつまでも ちびちびが だいすきです
「この本読んで!」
と、3歳になる知人の娘さんに手渡されたのが、“ちびちび” との出会いでした。
主人公のちびちびは名前の通り、小さくて、何とも言えない、愛くるしい表情のちびゴリラです。
また、ちびちびの家族、森の動物達がちびちびを見守る目がとても優しくて、温かくて、うっとりしていて…。ちびちびのかわいさと、ちびちびを愛しているのが伝わってくるのです。ページをめくる毎に、私も優しい気持ちになり、自然と笑顔になっていたのでした。
そんなあるひ なにかが おこりました──
この文章を境にして、あんなに優しかった動物達の表情が、不安そうになるのです。私も「何が起こったのだろう…。」と心配になり、笑顔が消え、お話に吸い込まれていきました。
どんどん どんどん どんどん おおきくなって
こんなにおおきくなりました
ちびゴリラの成長ぶりに、おひざの上で聞いていたその子も、思わず「おっきー!」と、叫んだほどです。
みんなは いつまでも ちびちびが だいすきです
その最後の一行を読み終えた時、私はその子をぎゅっと抱きしめていました。大きくなっても少しも変らず、愛くるしい表情のちびちび。そして何も変わらず、ちびちびを愛する家族や、仲間達。温かく幸せな気持ちで「おしまい。」と本を閉じることが出来ました。
本を読み終えた時、両親の顔が思い浮かびました。私が大人になり、どんなに年を重ねていっても、いつまでも変わらずに愛し見守ってくれる存在だからです。
自分がどう変わっても変わらずに愛してくれる人がいるというだけで、自信が持てたり、人を愛する力や優しさを持つことが出来るのではないでしょうか。そんな、誰かに愛される幸せに気付くことが出来ました。
もし私が母親となり、私にかわいいちびちびが産まれたのなら、この本を読んで最後に思いっきり抱きしめて、愛を伝えたいと思うのです。
そして、今の私のかわいいちびちびは、この幼稚園の子ども達です。ですので、たくさんの子ども達にこの本を読んであげられたらと思っています。
この本を読まれたら、きっとかわいいちびちびちゃんを抱きしめてあげたくなられることでしょう。そんな心から、優しく温かな気持ちにさせてくれる一冊だと思います。
文章 Tomoko先生