『ぼちぼちいこか』
文/マイク・セイラー、絵/ロバート・グロスマン、訳/今江祥智、偕成社1980年
この絵本は、題名からも分かるように、文章は、すべて、私たちになじみのある関西弁で書かれているため、親しみを持って読むことができます。太っちょのカバさんが、いろいろな職業に挑戦するのですが、体が大きく、重いために失敗ばかりしてしまうというお話です。
私は短大のときにこの絵本に出会いました。どんなに失敗しても決してあきらめず、いろいろなことに挑戦するカバさんの前向きな姿に励まされたり、またうまくいかないときは、あせらず、ゆっくり、ぼちぼち歩んでいくことも大切と、ひと休みするカバさんの姿に、心が和み、この本が大好きになりました。
今年たんぽぽ組を担任させていただき、お部屋でこの絵本を見つけ、さっそく子どもたちに読み聞かせをしました。カバさんが失敗する度に、子どもたちは大笑い! いっぺんに、大好きになってくれ、「『ぼちぼちいこか』よんでー!」とリクエストがくるぐらい、お気に入りの一冊になりました。
何回か読むと、今度は、子どもたちどうしで読み聞かせを始めました。この絵本は、文章が少なく、しかも同じような言い回しになっています。ですので、文字が読めなくても、絵を見ながら子どもたちが自由に文章を作っても、お話は成り立つし、十分に楽しむことができるのです。一人の子が先生役をし、お友達に読んであげます。ちゃんと関西弁で、カバさんが失敗するところは、感情を込め、がっかりした気持ちを表現して読みます。聞いている子はもちろんですが、読んでいる子も、カバさんが失敗するところで、みんな一緒になって大笑いするのです。
一冊の絵本で、みんなが「面白い」と笑い合えること、また絵本だけではなく何か一つのことで、みんなが同じ気持ちを共有し合えるということは素敵だなあと思い、さらにこの本が好きになりました。
大人が読めば、私が短大のときに感じたようなメッセージ的なものがあり、元気が出る絵本です。子どもが読めば、ただ純粋に面白くて、大笑いできる楽しい絵本です。誰が読んでも、誰と読んでも、笑顔になる、そんな魔法の絵本だと思います。
文章 Tomoko先生