お山の絵本通信vol.27

──なつかしい絵本と先生のこえ──

『ねずみくんのチョッキ』
文/なかえよしを・絵/上野紀子、ポプラ社1974年


今から9年前。私が短大2回生だった時に、幼稚園での教育実習がありました。その時初めての実習でお世話になったのが、このお山のようちえんでした。

ことりぐみさんで実習をさせて頂いたのですが、その時に絵本実習で『ねずみくんのチョッキ』を読みました。初めての実習ということで、胸はドキドキ…。「子ども達は喜んでくれるかな?」「最後まで見てくれるかな?」と心配ばかりし、何度も何度も家族を前にして家で練習していました。

いざ子ども達の前に座り絵本を読むと、子ども達が目を輝かせて真剣に見てくれている様子が見え、嬉しくなり最初のドキドキも少しおさまりました。

3才児さんのクラスだから絵も見やすくわかりやすいもの、と考えて選んだ『ねずみくんのチョッキ』。シンプルなお話ですが、色々な動物が出て来て愛嬌のあるかわいく楽しい絵本です。

そして今年、ほしぐみで教育実習をされた実習生さんは先月ゆみ先生がご紹介されたピーマン村シリーズの『えんそくバス』を読まれました。いつもは元気いっぱいのほしぐみの子ども達も絵本や紙芝居は大好きです。真剣に絵本に見入り楽しんでいる子ども達を見ていると、自分が実習生だったころを思い出しなつかしくなりました。「どんな絵本を読もう?」と真剣に考えていたあの頃。その気持ちは今の私の原点のようにも思います。

この季節にはこの絵本、今の子ども達にはこの絵本を読んでみたい…。色々と考え本屋さんで絵本を手にする度にその時の子ども達の様子を思い浮かべてわくわくします。私にとって『ねずみくんのチョッキ』はお山のようちえんで初めて読んだ絵本であるとともに、先生を目指していたあの頃の大切な気持ちを思い出させてくれる絵本です。これからも子ども達とたくさんの絵本を読み一緒に楽しみ、子ども達にとっても私にとっても思い出に残る絵本をどんどん増やしていきたいと思っています。

文章 Rumi先生