お山の絵本通信vol.38

──なつかしい絵本と先生のこえ──

『100万回生きたねこ』
佐野洋子/文絵、講談社1977年

朝、私がお部屋に着くとすぐ「先生!これ読んで!!」と何人もの子ども達がお家から持って来てくれた絵本を片手に、笑顔で走って来てくれます。その中には「こういう風に読んでな! ・ ここは開くからこうやって!(しかけ絵本)」と注文があり、子ども達1人1人の絵本に対する思いを感じることが出来ます。その絵本とどんな"出会い"があったのかなぁと考えながら、1日がスタートする今日この頃です。

[100万回生きたねこ]

今回ご紹介する絵本は、『100万回生きたねこ』です。皆さんもよくご存知の不朽の名作ですが、私がこの絵本と出会ったきっかけは、友人からのプレゼントでした。

中学の時からずっと憧れ、夢だった幼稚園の先生になれた時、「おめでとう! 夢が叶ってよかったね。次もお楽しみに…。」と言って、貰ったものがこの絵本でした。友人が "今の私には何がいいのか" と一生懸命考えてくれたことがとても伝わり、その思いが1番嬉しかったことを今でも覚えています。そしてお仕事から帰ってくると、この絵本を見て1日のことを振り返っていたことも思い出します。

そして1か月後…。「今月はこの絵本にしてみたよ。」と『おじいさんのかさ』を。次の月は『ぼうしのすきなこぶた』と、3か月にわたって1冊ずつの絵本のプレゼントがありました。(ここでやっと「次もお楽しみに」の意味がわかりました!)

毎月テーマを決めてプレゼントをしてくれたこと ・ こんな心温まるアイディアを考えてくれたことに、『友達の大切さ』を強く感じ、又嬉しく幸せな気持ちでいっぱいになりました。

──そのトラ猫は100万回もいろいろな人に飼われ、死んではまた生きました。いつも飼い主が嫌いで自分が大好きだったトラ猫。でもある時一匹の白い猫を好きになり……。──「ある時…。ある時…。」と別々なストーリーになっているのかと思えば、最後にはつながっていき、読んでいくにつれてとても感動しました。

私にとってこの3冊の絵本との "出会い" は『宝物』です。

ページをめくるたびに心の記憶が甦ってくる、そんな絵本とこれからも沢山出会ってほしいと思います。

文章/Sumiyo先生