お山の絵本通信vol.41

──なつかしい絵本と先生のこえ──

『おしゃべりなたまごやき』
寺村輝夫/文、長新太/絵、福音館書店1972年

[たまごやき

私が小学校2年生の時、朝の会(ホームルームの時間)に担任の先生が、お話の時間として読み聞かせをしてくれました。2、3分間というわずかな時間でしたが、私にとってお楽しみの時間となっていました。そのお話の中で1番最初に読んでもらったのが、王さまシリーズの『おしゃべりなたまごやき』でした。

この話は、王さまがにわとり小屋の戸を開けてしまい兵隊たちが犯人探しをしていきます。王さまがあけたという事は誰にも知られていないはずが、1羽のめんどりに知られてしまいます。王さまは、めんどりに「ぼくが、とりごやを、あけたのを、だれにも、いうなよ。だまっていろ」と言いきかせます。そのめんどりがたまごを産み、王さまがめだまやきにして食べるのですが…ナイフでめだまやきを切ると「ぼくが、とりごやを、あけたのを……」もう一度切ると「だれにも、いうなよ……」口の中に入れて食べると「だまっていろっ」ときみが言いました。王さまの言ったことを、めんどりがたまごの中にしまっておいたという、おもしろくて楽しいお話となっています。

当時、わずかな時間の中で読んでもらい、そのお話を聞くことで、どんな王さまなのかなぁ? どんなめんどりなのかなぁ?? と想像をふくらませて、楽しんでいたように思います。また、担任の先生が「はい! じゃー今日はここまで。次はどうなるかお楽しみに!!」と言ってくれたことで、よりお話がふくらんだように思います。改めて、この絵本を手にとって読むと、担任の先生の読み方やおもしろくて皆で笑った所など…その時々のことを懐かしく思い出します。絵本は見て楽しむだけでなく、読んだり聞いたりすることで、よりお話が広がり、楽しさが何倍にもふくらむんだなぁ〜と、この絵本を通して感じることが出来た思い出の1冊です。これからもたくさんの絵本を通して、子どもたちと一緒に思い出に残るお話を見つけていきたいなぁと思います。

文章/Noriko先生