お山の絵本通信vol.42

──なつかしい絵本と先生のこえ──

『SOME DAY いつかはきっと…』
シャーロット・ゾロトフ/文、アーノルド・ローベル/絵、矢川澄子/訳、ほるぷ出版1975年

[いつかはきっと…

子ども達が大〜好きな絵本の時間。私も子ども達と同じ年の頃、この時間が楽しみで、いつもその絵本の世界にどっぷり入ってはワクワクしたり、優しい気持ちになったり、暖かい気持ちになったり・・・色んな気持ちを楽しんでいた様に思い出します。

今日、ご紹介するこの絵本は幼い頃の私をうっとりさせてくれた思い出の一冊です。

     いつかは ね
     いつかは きっと そうなるんだわ・・・・・・
     いつかは きっと・・・・・・

で始まるこの絵本。いつかはね・・・と繰り返す言葉が心地よかったのと、鉛筆を使ったやさしいタッチ、ふんわりとした色使いがとても印象に残っています。

    いつかはね・・・あたしががっこうへいくと みんながいうの。
   「まあ きょうは すごくすてき あたしも こんなかみのけ ほしいわ!」

    いつかはね・・・おにいちゃんが あたしを おともだちに しょうかいしてくれるの。
   「ほら うちのちびさ」なんて いわずに 「ぼくの いもうとです」 って。

いつかはね・・・と主人公の女の子のあんな風になったらいいなあ、こんなことしたいなあ、というささやかな夢がいくつか描いてあり、その夢は、もうちょっと大きくなったら実現しそうな事だったり、実現したらなんておもしろいんだろう! という事など可愛らしい夢がいっぱい描いてあります。

お兄ちゃんが出てきたところが自分と同じで親しみが生まれ、あんな風に髪が長くなりたいなあ・・・とか、うちの中に見たこともない部屋が見つかったら、おもしろいだろうなあ・・・とか、女の子の夢と幼い私の夢がよく似ていたことが、きっと、その頃のわたしをワクワクうっとりさせ、今でも記憶に残っていたのだと思います。

子ども達は早く大きくなりたい! とか、できそうもないことができたら! とか、起こりそうもないことが起こったら! とたくさんの夢を持っています。そして、その夢がいつか現実になることを願っていることでしょう。「いつかはきっと・・・」とこれからもたくさんの色々な夢を持ち続けていって欲しいです。そして、大人になっても「いつかはきっと・・・」とささやかでも、たくさんの夢を描いていけたら本当に素敵ですね。

子ども達をワクワクうっとりさせるだけでなく、大人になった私達にも子どもの頃の気持ちを思い出させてくれる、そんな絵本です。

文章/Mami先生