お山の絵本通信vol.61

──なつかしい絵本と先生のこえ──

『ともだちほしいな おおかみくん』
いもとようこ/絵、さくらともこ/文、岩崎書店1986年

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私の家は、父、母、兄2人の5人家族です。末っ子ということで、小さい頃は兄の影響を受け、いつも真似をして遊んだり、兄の友達の家まで一緒に遊びに行ったりと、兄とくっついて行動してばかりいました。そんなわんぱくだった私も、兄から離れて幼稚園に行くようになると、初めての環境や知らない友達への不安から、1週間程幼稚園に行くのを嫌がっていたそうです。

でも、1人のお友達が声を掛けてくれ仲良くなることが出来、それを機にいろいろな友達が出来るようになり、幼稚園が楽しくなりました。私の心を開かせてくれた小さな友達が、今の誰とでもすぐ友達になれる私を作ってくれました。今では、友達の存在は私にとってかけがえのない大切なものです。

この絵本は、そんな友達のことを思いやる優しい姿がのっています。オオカミくんは、友達がほしいけれど…自分の姿がばれたら、きっとみんな、怖がってしまうだろうな…という想いを持っています。他の動物達も、初めはオオカミくんは怖いもので一緒に遊ぶのを避けようとしていました。

でも、友達のことを一生懸命に思いやる心を目にし、オオカミくんと友達になります。オオカミくんが、お友達になりたい!というお友達のことを思いやる気持ち、他の動物達が、オオカミくんの優しさに気付く所、なにより、最後はみんなで仲良く遊ぶシーンが、私は大好きです。

友達の存在や思いやりの大切さを改めて感じることのできる、心温まる1冊だと思います。

文章/Chihiro先生