『きょうはなんのひ?』
瀬田貞二/文、林明子/絵、福音館書店1979年
主人公のまみこは、お父さんとお母さんの結婚記念日にプレゼントを贈ります。朝、学校へ出かける前にまみこはお母さんにこう言いました。
「お母さん、今日は何の日だかしってるの?
しーらないの、しらないの、
しらなきゃ階段三段目!」
お母さんが、まみこの言われたその場所へ行くと、そこには小さな手紙がありました。まみこの考えたお楽しみはここからが始まりです。大好きなお父さんとお母さんのもとにプレゼントが届くまでには、まだまだお楽しみが沢山あるのでした。
私は、幼い頃から誰かにプレゼントを贈ったり、サプライズを考えたりすることが大好きでした。幼い頃、プレゼントを贈る相手といえば、父や母、妹、祖父や祖母でした。お手紙を書いたり、折り紙で色んなものを作ったり、似顔絵を書いてあげたり……。振り返れば、今まで色んなものをプレゼントしていたように思います。そして、私も主人公のまみこと同じように父と母の結婚記念日には、妹と相談をし、自分たちの部屋でこっそりとプレゼントを作ったり、何か理由をつけて2人で出かけ、プレゼントを買いに行っていました。
また、クリスマスやお正月には、妹と2人でパーティーを計画して、父や母を招待し、景品付きのクイズをしたり、ピアノを披露することもありました。「えっ!! いつのまに準備したん!」「うわ〜、嬉しいなあ。ありがとう!」そんな風に驚いたり、喜んだりしてくれることが、幼い頃の私にはとびきり嬉しいものでした。そして、「どんな顔をしてくれるかなあ?」「きっと喜んでくれるだろうなあ。」そんなことを思いながら準備をする時間も、ワクワクがいっぱいで大好きな時間でした。なので、このお話を読むたびに、私も主人公のまみこと一緒にドキドキ・ワクワクとした気持ちになっていました。
幼い頃と同じようには出来なくなりましたが、今でも、父や母の誕生日や記念日などには、時間が合えば妹と2人で相談をしてプレゼントを選んでいます。 悩んで選んだプレゼントを手渡した時、「えっ!! 嬉しい。ありがとう!!」と、昔と変わらず喜んでくれる姿を見るとやっぱり嬉しくなります。
お山の幼稚園でも、「これはお母さんにお土産!」「これはお父さんにあげる!」という声が沢山聞かれます。おうちで待っている大好きなお父さんやお母さんの為に、綺麗な葉っぱやどんぐり、一生懸命作った折り紙などを持って帰る姿が見られます。みんなとっても嬉しそうで、早く渡したいという気持ちでいっぱいです。そんな姿を見ると、幼い頃の自分とも重なり、心がぽかぽかとした気持ちになります。
また、私自身幼稚園の先生になり、今度は子ども達から沢山のプレゼントをもらう側にもなりました。「Chinami先生!これあげる!」「これは先生のお顔!!」と照れながら渡してくれたり、嬉しそうに渡してくれたり。子ども達が色んな思いで手渡してくれた数々のプレゼントはどれもとっても大切な宝物です。沢山の宝物をもらっている分、私も子ども達に沢山のお楽しみをプレゼントしていきたいと思います。
この絵本をもう一度読み返すことで、幼い頃の嬉しい気持ちや、ワクワクした気持ちを思い出すことが出来ました。その気持ちをいつまでも忘れず、大切にしていきたいです。
文章/Chinami先生