『バムとケロのもりのこや』
島田ゆか/文・絵、文溪堂2011年
夏のような暑さも落ち着き、だんだんと秋が深まり、過ごしやすい季節となりました。今回紹介させて頂く絵本は、森あそびが大好きな子どもたちも思わずワクワクするような、バムとケロシリーズのお話です。
ぽかぽかあたたかい木曜日。近くの森にきいちごを摘みに行くと、つるくさに覆われた古い小屋を見つけたバムとケロ。誰も住んでいないので、2人のひみつの小屋にしよう! と掃除をして、修理をして、お友達を呼んで、、、。
「ここお家にしよう!」「いいねえ! じゃあ私、木いっぱい集めてくる!」と森あそびでも場所を見つけてあそびを展開していく子どもたち。お家や迷路、お化け屋敷、バナナ鬼など、ひみつの森という1つの空間や場所でお友達とアイデアを出し合いながら様々なあそびが繰り広げられています。
とある日の森あそびでは、地面から生えている少し太めの根っこを見つけたお友達が「何か埋まってるのかも!」と引っ張っていると「僕も手伝うよ!」「私も!」と駆け寄ってきてうんとこしょ、どっこいしょとみんなの力を合わせて引っ張る姿も見られました。結局その根っこはびくともしませんでしたが、「大きいお芋かなあ?」「大事な宝物が埋まってるのかも」と土の中に埋まっているものを想像しながらお友達とお話に花を咲かせている様子も見られていて、楽しいひと時をお友達と共有できていることを、嬉しく思いました。
また、この秋の季節には緑や茶色の葉っぱの他に、赤や黄色などいろんな色の葉っぱが落ちていて地面が色鮮やかに変化しています。「赤と黄色が混ざっていて綺麗〜!」と集めた葉っぱを眺めたり、触ったり、ちぎって香りを楽しんだ後、ある子が「僕パズル得意やねん!」といってちぎった葉っぱを集めて合わせると1枚の葉っぱが綺麗に合わさり、そこから葉っぱパズルゲームが始まり楽しんでいた子どもたちでした。
この絵本を読んでいると、私も幼い頃、友達と家の近くの公園でひみつ基地を作り、そこで毎日のように遊んでいたことを思い出しました。お気に入りの枝や葉っぱをたくさん集めておうちごっこをしたり、レジャーシートの上でお気に入りの絵本を見ながらのんびりと過ごしたり、時にはかくれんぼうの隠れ場所になったりと今でも楽しい思い出がたくさん詰まった場所として心に残っています。
子どもたちにとって、ひみつの森で過ごした時間も、楽しい日々をお友達と過ごした思い出いっぱいの場所の1つとして小学生、中学生、そして大人になっても心に残っていくのではないかと思っています。そんな時間を保育者として一緒に子どもたちと関わり、楽しい時間を共有できていることを嬉しく感じています。これからも子どもたち1人1人が主人公となってお友達と楽しい時間を過ごしていけるよう、見守っていきたいです。
文章/Yoko先生