お山の絵本通信vol.207

──なつかしい絵本と先生のこえ──

『せんろはつづく』

竹下文子/文、鈴木まもる/絵、金の星社2003年

「せんろはつづく」──この絵本の主役は「せんろ」です。子どもたちみんなで広い野原に線路をつなげていきます。つないだ線路はどんどんと長くなり、どこまでも続いていきます。

「山があった。どうする?」「トンネルをほろう!」「川があった。どうする?」「鉄橋をかけよう」などというリズミカルな言葉の繰り返しとテンポの良い展開に読み手は引き込まれていきます。たんぽぽ組の子どもたちもこの掛け合いが大好きで、汽車のおもちゃで遊ぶ時は、「道だ!どうする?」「踏み切りを作ろう!」「ここは、川だからどうする?」「橋を作らなくちゃ!」と絵本に出てくる言葉を真似て、線路をつなげて楽しく遊ぶ様子がよく見られています。絵本でもたんぽぽ組のお部屋でも長く長くつながっていく線路。子どもたちのイメージもどこまでも広がっていっているように感じています。

そして、このお話では子どもたちが自分自身で考え、困難を乗り越えながら、仲間と協力してどんどんと線路を作っていく姿がとても印象的です。その姿は新しい環境、幼稚園生活に慣れようと奮闘している今の子どもたちの姿と重なります。子どもたちなりの楽しみをお友達と一緒に見つけようとしている様子、出来るようになることを増やし、自信をつけようとしている様子が今は見られています。そんな子どもたちを見守り、引き続きいろいろなことに挑戦し乗り越えていく力を身に付けていってもらえるよう、応援していきたいと思っています。と同時に、仲間で協力することの大切さも伝えていきたいと思った一冊でした。

電車好きの人にはもちろんのこと、たくさん出てくる動物たちを探したり、線路の続きを想像してみたり、仲間と協力して困難に立ち向かう姿から元気をもらうなどこの絵本のいろいろな楽しみ方を見つけて、読んで欲しいなと思います。また、続きもシリーズとして出ているのでまだ読んでいない続きを私自身読んでみたいと思っています。

文章/Tomomi先生