『おふろだいすき』
松岡享子/文、林明子/絵、福音館書店1982年
あなたは、お風呂がすきですか?
この絵本の主人公まこちゃんは、お風呂が大好き。お風呂に入るときは、いつもあひるの“プッカ”と一緒です。そしてお湯に入り、「湯加減はどうですか?」「あつくもなし、ぬるくもなし、ちょうどいいかげん」というやりとりを行いますが、この大人びた口調とリズムが私は大好きです。また、お家のお風呂が海とつながっていて、どんどん生物たちがお風呂の中から出てくる場面、愉快な動物たちとおしゃべりする場面では、なんて楽しい世界が広がっているのだろうと絵本の中に引き込まれていきます。
子どもたちと一緒に読んだ時には、「次はお風呂に誰がやってくるのかな?」とワクワクする姿や「僕のお家のお風呂にも来て欲しい!」「私はペンギンさんに来て欲しいの!」「この間カメさんがお家に来てくれたんだ!!」などと子どもたちの空想の世界もどんどんと広がり、「お風呂に早く入りたくなってきちゃった。」という声も聞こえてきました。私も小さい時にこの絵本に出会っていれば、お風呂の時間が楽しみだっただろうし、もっともっとお風呂が大好きになっていただろうと感じました。
そして、この空想の世界は、絵本から自由あそびの中でもたくさん子どもたちの中に取り込まれ、楽しんでいる様子が見られています。例えば、お部屋がカフェやさんや、忍者村、動物園に変身したり、砂場から恐竜の骨や化石がたくさん出てくることもしばしばあります。大人にはない自由な発想を楽しむ子どもたちの姿はいつもキラキラと輝いています。そんな豊かな発想の中での素敵な世界は、いつまでも大切にして欲しいと願っています。と同時に最後に出てくる大きなバスタオルを広げたお母さんの姿と私が大好きな林明子さんの絵に暖かさを感じています。これからも、子どもたちの自由で楽しい発想をこの絵本に出てくるお母さんのように大きなバスタオルで包み込んでいきたいなとも思っています。
文章/Tomomi先生