福西です。「その1」からの続きです。
生徒たちは次のような問題を設定して考えてくれました。(読み手の便を図るため表現はこちらで加工しています)
折り返し「なし」の場合のグリコの問題を考える。
段数nは50段よりも多い(n≧51)とし、登り方には3歩とx歩(x≧10)の2パターンがあるとする。さて、xがどんな数なら、(51段以上)の「どんな場合でもゴールできる」と言えるか。
ここで、xを10以上の大きい数としているのは、xがあまり小さいと、小刻みに行けば可能という見通しが最初からついてしまって面白くないからです。また段数を50よりも多くしたのは、xが大きいと段数の小さいうちは不可能なことが最初から分かっているので、あらかじめ省いてあるという意味です。
さて、生徒たちはこれまでの考えをもとに、次のように方針を立てました。
1)歩数が3とxで、10歩は(x=10以外では)作れないので、次の候補の「20」を作ることを考える。
2)n=51~70についてゴール可能であることを示す。
3)あとは20繰り上げることで71~90が作れて、あとは20ずつ自動的に満たされる。
6年生でこのように考えてくれたことは、驚きです。
まず、1)について。
x=10の時は問題なく20は作れる。
x=11の時もOK。(20=11+3+3+3)
以下、
x=12→12=3×4 OK
x=13→不可。ただし30は3×10なのでいつでも作り出せるのでOK。
x=14→14+3+3 OK
x=15→3×5 OK
x=16→不可。30で考える。
x=17→17+3 OK
x=18→3×6 OK
x=19→不可。30で考える。
x=20→OK
・・・
実はここまで考えると、20よりも30で考えた方がいいことが分かります。(授業ではそこまで考えが及ばずに、20で考えていました)
ただ、あとで2)を考えた時に分かるのですが、20を作る話が30になっても、実は変わらないことが示せます。
2)について。
考えている途中で、大きな事実に気が付きました。
51~70を全部考える必要はない。
使える歩数に「3」があるので、実は、ある段数について可能であることが言えれば、それに+3ずつしていった段数についても可能であることになります。そこで
「3の倍数や!」
とK君がひらめいてくれました。
そこで、3ずつ足していった数を1つのグループにすることができると分かりました。つまり、3で割って、「割り切れる」「1あまる」「2あまる」という3通りだけを考えれば、「すべての数」について考えたことになります。しかも今の問題では、もし51と52と53について「可能」ということが言えれば、それらに3ずつ足していって、「後のすべての数」について「可能」であると示せることになります。
たとえば、3と11で、「51」が作れれば、51、54、57、60・・・と3飛ばしについて自動的に満たされ、「52」が作れれば52、55、58、61・・・が、「53」が作れれば53、56、59、62・・・が満たされます:
51、54、57、60・・・
52、55、58、61・・
53、56、59、62・・・
ということで、51以上のすべての数について成り立つことが見て取れます。
つまり、最初の51、52、53段の時だけ調べればよい。
これは大きな発見でした。
さらに、
51自体が3の倍数なので、51(とその系列)は可能。
ということは、あとは、
3とxで「52と53」が作れることが言えればよい。
と、どんどん問題が簡単な命題に置き換わっていきました。そこが今回、面白いと感じました。
そしてY君、K君と手分けして、答の探索が始まりました。
(「その3」へ続きます)