かず6年(1106)

福西です。昨日は2進数の話の延長で、暗号を一つ紹介したいと思い、次のような問題を出しました。

問題

4294967297は、A=□□□で割り切れる。その数で割った商(7ケタ)を入力せよ。

X=□□□□□□□

この数はランダムではなくて、ある法則に基づいた数です。(次稿参照)

問題のヒントは、3ケタの数で割り切れるということなのですが…。

試しに、手計算で7で割ってみました。(以前の経験では7で割り切れることが多かったので)。でも残念、余りが出ました。次に、3でも割ってみましたが、やはりだめでした。

ということで、「本当に割り切れるのかなあ?」という感触からスタートしました。

「じゃあ、500までと、500以上とで手分けしよう」

と、探索を開始する、K君とY君。

二人には、私からは旅の黍団子として関数電卓と、49999までの素数表を渡しておきました。

さて、電卓に100を入力しようとした時、K君もY君もすぐに「あれ?偶数はないんとちゃうか?」と気付きました。

そうです。割ろうとしている数は、4294967297ですが、これは奇数です(1の位が7)。なので偶数で割り切ることはできません。

ということは、A=□□□の1の位は、

「2、4、6、8、0は考えなくてもいい。省ける」

ということが分かりました。逆にいうと、

□□1、□□3、□□5、□□7、□□9

が候補となります。

「じゃあ、1の位が1の場合とか、しらみつぶしに行こう」

ということで、これまた手分けが細分化されました。

「1の位が1の場合はなかった」

「9の場合もなかった」

「7の場合も・・・あれなかった。じゃあ、3か5?」

「そうか。じゃあそれで手分けしよう」

「あれ、でも待てよ。5って、ありえる…?」

と、電卓をたたき続けているうちに、それは「どうやらありえないぞ」という感触に気づきました。理由もすぐにわかりました。

「そっか。1の54294967297って、1の位が7だから、□□5だと割り切れへん数や」

そうです。これも一つの発見です。

補足すると、1の位が5ということは、それ自身が5の倍数となっています。たとえば395は、5×79です。もしそれで4294967297が割り切れるとすれば、5でも割りきていないとおかしいことになります:

4294967297

=395×B

=5×79×B。

しかし、4294967297は、1の位が7だから、5の倍数ではありません(5の倍数は、1の位が0か5になるはずです)。つまり4294967297は、□□5では割り切れないということが結論付けられます。

「ということは、残る可能性は、□□3しかない」

ということで、しらみつぶし続行です。

しかし、生徒たちの脳裏には、「これでもし見つからなかったら・・・」という心配もよぎっていました。

そして、

「あれ、だめだ。見つからない」

となりました。

「どこか調べ忘れたのかなあ」

ということで、不安が当たってしまいました。残念ながら、これが「人間のする、しらみつぶし」の弱点です。本当にしらみつぶしができていればいいのですが、それをチェックすることは、かなり難しいです。

ただ、やり直すにしても、

1の位が1、3、7、9に絞れていますので、どれかが正解となります。

そこで、ヒントを一つ出しました。

4294967297=A×X=□□□×□□□□□□7

と、商の方の1の位をオープンにしました。

すると、どう考えたらいいでしょうか。(パズル)

「7ということは、Aの1の位に3はありえない」

「どうして?」

Y君「だって、3の段で~7は、27÷3=9しかないから。だから4294967297=□□3×□□□□□□9になるはず。なので、A=□□3はありえない」

K君「A=□□9もない。9の段で~7になるのは、27÷9=3しかない、だから」

「他の数は?」

「1と7はありえる。つまり、4294967297=□□1×□□□□□□7か、4294967297=□□7×□□□□□□1かの、どっちかになるはず」

ここまでくると、かなり限定されてきました。

でも、これでもまだ、□□1は、9×10×1で、90個。□□7も90個。合計180回電卓を叩く苦労は残っています。

そこで、もう一つヒントというか、(私の失言という形で^^;)強調して、以下の言葉を述べました。

「4294967297は、A×Xの一通りにしか分解できない…あ、しまった」

と。

そこで反応したのが、Y君でした。

「え、一通りってことは…」

「ドキッ」

「Aは素数?」

「ドキドキッ」

「だって、そうやんな! じゃないと、何かで分解できてしまうから!」

そうです。Y君の言いたかったのは、A=A’×Cとできるならば、

4294967297=A×X=A’×C×X

となり、

A’でも分解できてしまうことになります。でも、それでは今の「一通り」という言い方と矛盾してしまう、ということです。

「じゃあ、こうすればいいんや。素数だけ調べたら!」

と、勢いづくY君。

ということで、最初に渡しておいた素数表が、ここで、やっと日の目を見ることになりました。

2, 3, 5, 7, 11, 13, 17, 19, 23, 29, 31, 37, 41, 43, 47, 53, 59, 61, 67, 71, 73, 79, 83, 89, 97, 101, 103, 107, 109, 113, 127, 131, 137, 139, 149, 151, 157, 163, 167, 173, 179, 181, 191, 193, 197, 199, 211, 223, 227, 229, 233, 239, 241, 251, 257, 263, 269, 271, 277, 281, 283, 293, 307, 311, 313, 317, 331, 337, 347, 349, 353, 359, 367, 373, 379, 383, 389, 397, 401, 409, 419, 421, 431, 433, 439, 443, 449, 457, 461, 463, 467, 479, 487, 491, 499, 503, 509, 521, 523, 541, 547, 557, 563, 569, 571, 577, 587, 593, 599, 601, 607, 613, 617, 619, 631, 641, 643, 647, 653, 659, 661, 673, 677, 683, 691, 701, 709, 719, 727, 733, 739, 743, 751, 757, 761, 769, 773, 787, 797, 809, 811, 821, 823, 827, 829, 839, 853, 857, 859, 863, 877, 881, 883, 887, 907, 911, 919, 929, 937, 941, 947, 953, 967, 971, 977, 983, 991, 997, 1009, 1013, ・・・(以下50000近くまで)

一見、「うわっ」となりますが…。

でも、Y君は動じず、

「101から997まででいいんや。その間にある、1の位が1と7のやつだけを調べたら。おお、これはめっちゃ限られてくるんちゃう?!」

というわけで、ちょうどいいところで、時間が来てしまいました。

この後の答え合わせは、ぜひ来週。K君とY君には手のひらに書いてもらって、「せーの!」をしてもらおうと思います。

(マニアックなたとえ方になりますが、『三国志』の「赤壁の戦い」にある逸話のように、「同じですな」と言えるのを楽しみにしています)(^^)

 

追伸

K君が、「4294967297を2進数で表したら、どうなるのかな」と言っていました。それが「鋭い!」と思いました。

これは後の稿で書きますが、4294967297は、実は「2」と、とても関係があります。なので、ぜひK君にはそのアイデアを深めて、何か発見があれば私にも教えてほしいと思います。

 

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(ちなみにこれまでの2進数の勉強では、こんなことをしています。この内容については、またこちらの続きに書く予定です。)