昨年度のかず6年のクラスで、最後の授業に取り上げた「論理パズル」の問題です。
問題文
「アイアス、オデュッセウス、ディオメデスの三人が、ある鍛冶屋に上等な武具を注文しました。鎧は金貨6枚、盾は金貨4枚、槍は金貨2枚です(槍は投げて使うので比較的安価なのです)。さて3人とも品を2つずつ買いました。以下の条件で、だれが何を買ったかを証明しなさい。また答は一意(一通り)かどうかも示しなさい」
条件1
1人が同じ種類の物を2つ買うことはできません(鎧2つなどを買った者はいません)。条件2
お互いに、2つの品が2つとも同じになるように買った者はいません。(アイアスが盾と槍で、オデュッセウスも盾と槍ということはありません。ただしアイアスが盾と槍で、オデュッセウスが鎧と槍ということはあります)条件3
槍を買った者は必ずうそをつき、槍を買っていない者は必ず正しい発言をします。ただしうそとは、正しいことと反対のことを指します。そして二人が次のように発言しています。
アイアス:「オデュッセウスは金貨8枚を使ったぞ」
オデュッセウス:「ディオメデスは金貨10枚を使ったぞ」さて、だれが何を買ったでしょうか?
K君の答案(※の補足部分以外は原文まま)
アイアスは、(ア)、オデュッセウスは(オ)。ディオメデスは(デ)。
(ア)が、たてとよろいを買ってやりを買わずにうそをついていないとする。
その場合(オ)は、よろいとやりを買っている。なぜなら、(ア)が(オ)について「8枚つかったぞ。」といったから。
こんど(オ)が発言した、(デ)が10枚つかったかつかっていないか、それは、つかっていないのである。なぜなら(オ)は、やりを買った。つまり、うそをついている。よって(デ)は、10枚つかっていない。だからやりとたてをかっている。
これでむじゅんはない。
では他のパターンはあるのか、調べればいいのは、2パターンである。なぜなら、武具2つを買うパターンは3つしかなく、人も3人しかいない。よって3パターンしかない。
もし(※(ア)がうそつきで)(オ)が正直だった場合、たてとよろいをかう。そして、(オ)の発言どおり(デ)が10枚つかえばよろいとたてになる。つまりむじゅんがでる。
もし、(ア)も(オ)もうそだとする。(ア)は、(オ)を「8枚つかった」と言っている。(オ)が、やりとたてをかったことはわかる。そして(オ)は、(デ)について「10枚つかった」と言っている。しかしこれはうそである。つまり(デ)は、10枚つかえない。するとどちらを選んでもかぶる。つまりむじゅんする。
結果 1パターンしかないことがわかった。
(ア)たて、よろい
(オ)やり、よろい
(デ)やり、たて
【コメント】
K君は、問題文の条件を満たすような武器2つの買い方が、「鎧と盾」「鎧と槍」「盾と槍」の3パターンしかないことを念頭に置きつつ、1)アイアスが正直の場合と、2)アイアスがうそつきの場合で場合分けを完成させてくれました。ここで、2)は、2-1)オデュッセウスが正直の場合、2-2)オデュッセウスがうそつきの場合に分化されています。(よって全体では計3パターンになります)。そしてK君は、「鎧と盾」「鎧と槍」「盾と槍」という買い方ができるパターンをその中から探し出し、それが1通りしかないということを証明してくれました。お見事です。上にある解答をぜひ自信に持って下さい(>K君)。
これまでK君とは、かずのクラスでは色々なことをしてきましたが、つきつめてしてきたことは、「自分の頭で考え抜く」ということです。それによって得られた自信は、他の何物にも代えがたいものです。それは今後一切減ることのないものです。一方、他者と自分とを比較して得られた勝ち癖は、不安定な「仮」の自信です。それはいつかは目減りしてしまうものです(だからまた不安になってよそ見を促してしまいます)。
K君には、中学に上がっても、これまで通り、自分を信じて、その時には決してよそ見をしないようにして、頑張ってほしいと願っています。いつまでも応援しています。