福西です。
この日は、それまでの暗唱のおさらいをしました。そのあとで、新しいものを一つ紹介しました。
堯 いわく、
「男子 多ければ すなわち
おそれ 多く、
富めば すなわち
こと 多く、
寿(いのちなが)ければ すなわち
はじ 多し。
この三しゃは
徳を やしなう ところに
あらざるなり。
ゆえに じす」と。
クリスマスが近いですが・・・。
『荘子』の外篇、天地・第十二にある一節です。
最初なので、半分の「恥多し」のところまでを目標にしました。「すなわち」という音が気になる生徒がいて、それをリズムにしておぼえてくれていました。また、かっこよく感じられるようになると、いいですね。
堯という昔の中国の王様(天子)が、ある土地の人から、以下のことを「祝福してあげましょうか」と言われ、「いや、いいです」と断ったという逸話です。
その願いごとの中身が、一つは「長生きしますように」、もう一つは「お金持ちになりますように」、そしてもう一つは、「男の子の子宝に恵まれますように」というわけです。それらを全部断った理由が、上の一文です。
絵本は、『ゴナンとかいぶつ』(ガンバートル/文、ボロルマー/絵、津田紀子訳、偕成社)を読みました。
モンゴルのお話です。
マンガスという怪物に荒らされた村から、ゴナンという少年が、村のみんなの大事にしていたものを取り返しに行くというお話です。
ゴナンは白馬に乗って、血の色をたたえた「じごく海」や、真っ白でとげとげした「骨の山」を通って、マンガスの居所にたどり着きます。その展開には、以前読んだ、『太陽へとぶ矢』を思い出したりもしました。
マンガスという怪物は、青い肌に、目が三つ、そして顔もまた三つ。ただし、そうした相手の形相が怖ければ怖いほど、お話としてはワクワクするものです。
そしてはじまる、二人の力比べ。案の定、強いものが好きな生徒たちは、喜んで見てくれていました。また、「三日三晩」という、繰り返し表現に、このお話のスケールの大きさを感じました。
マンガスは、強い怪物でしたが、一つ弱点があります。それが勝負の決着をつけることに、ほどよいカタルシスを味わいました。