福西です。
この日はABクラス合同で、次の問題を1時間考え抜きました。
『ブラフマンの塔』
インドのガンジス川のベナレスに、世界の中心を表すという聖堂がある。そこには3本の金剛石の柱が立てられており、当初、そのうちの1本に、大きさの異なる、穴の開いた黄金の円盤が64枚、大きい方を下にして順に重ねられていたという。バラモン僧たちはそこで、一日中、円盤を別の柱に移しかえる作業を行っている。そして、全ての円盤の移しかえが終わったときに、この世は崩壊し終焉を迎えると言われている。
さて、バラモン僧が1秒で1個の円盤を移動させることができるとすると、世界の終焉は作業のはじまりから最短で何年後ということになるか? ただし、小さい円盤の上には、大きい円盤は置けないので注意せよ。
この問題を、男の子チーム(3人)と女の子チーム(4人)とに分かれ、それぞれテーブルを囲んで考えました。そしてもしできたら、前に来てもう一度ちゃんと手を再現できるか、見せてもらいました。
まず、円盤を3枚にして始めたところ、「9手」といい、次に「7手」という声が上がりました。そこで、「本当に7手が最短?」という質問をしました。それについて答えるのは難しく、しばらく考えあぐねた後、2チームとも、何度やっても7手で止まりました。そこで(理由はまだ分からないけれど)暫定的に「7手」として、次は4枚で考えてもらいました。そうするうちに、見えてくるものがあるかもしれません。(本当は2枚にして「戻る」のが一番考えやすいのですが、すぐに気付かれても面白くないので、そこはあえて「遠回り」してもらいました(笑))
「あれ? さっき~手でいけた!」「うそ! ほんと!」「もういっぺんやってみる!」と何度も何度も飽きることなく繰り返し、そのうちに「分かった!」という嬉しそうな声が聞こえました。おそらく一番早く気付いたのが、女の子チームのMちゃんだったろうと思います。早く分かった人には、それをみんなと共有するという次の課題が待っています。私が「それをみんなに説明できる?」とたずねると、Mちゃんの場合、力強くうなずいて、その後は、「だってな…」と、みんなにまるで「聞いて聞いて!」とばかりに、その最短手の方法を伝えていました。みんなもそれに頭を寄せ合って考えを共有していました。しばらくして、一人が「ああ、そうか!」と腑に落ち、次にもう一人が「そこはやっぱ、こうちゃう?」とよりスマートな説明を加え、もう一人が「絶対そうや! そういうことやったんか!」と別の角度から理解し、「え、どういうこと?」とまだ疑問に思っている人には、「つまりな…」と、飽くことなくかんで含めて、自分たちの知っていることを教え合っていました。そのだんだんと分かっていく輪の広がる様子は、まるで花が開いていくかのようでした。
そこまできたところで、私は「そこまで分かっていたら、今度は円盤を減らしていってみたら、もっと確実に理由が説明できるよ」とアドバイスしました。一方男の子チームでも、T君がひらめき、R君がフォローし、それをS君に教えていました。教えるという事は、3倍分かっている証拠です。そのどちらのチームでも活気を持ってなされていた説明を、ここでは私が代わりに、次の稿で説明いたします。