山下太郎
昨日の「ことば」のクラス(小1)の記録です。
子どもたちは息せき切って山の上に上がってきます。話したいことが山ほどあるのです。最初の5 分間はおしゃべりタイムとし、手を挙げて順番にこの一週間に経験したことで、クラスのみんなに伝えたいことを話してもらいます。
次に俳句の復習をします。先週習った俳句を紙に何度も書いてきてもらいます。今はひらがなだけで書けるようにしています。中には漢字を書きたがる子もいますが、それはそれでよしとしています。
毎回新しい俳句を一首加えていきます。今回は一茶の「今日からは 日本の雁ぞ 楽に寝よ」を扱いました。この新しい俳句を全員で復唱して、覚えた段階で白い紙に書き写します。覚えるのはさすがに早いです。ただ、紙に書く字はよく注意しないとよく間違います。間違って直すことで勉強になります。
残りの時間は、絵本や紙芝居を読みます。今回は、先週半分まで読んだ『てぶくろをかいに』(新美南吉作)の続きです。子どもたちは内容をよく覚えていました。
大人のきつねが村人にひどいめにあわされそうになった絵を見て、このきつねは誰だったかな? と尋ねると、一人を除き、全員が「おかあさんぎつね」と答えましたが、その一人の生徒は「おかあさんぎつねのお友だち」と正解を答えました。
子どもたちは、次のページにどんなことが書いてあるかをわくわくしながら聞いてくれます。なかなか楽しいひとときです。
もし帽子屋のおじいさんの代わりに自分が店番をしていて、そこへ子狐が手袋を買いに訪れたら? ということを皆で考えました。
「子狐がかわいいので自分のペットにしたい」という意見が大半でした。「でもそれはかわいそうだ、おかあさんが待っているから」というのが最終的な、みなの意見になりました。
子どもたちにとって、次の場面が一番心に残ったようでした。
「かあさんぎつねは、しんぱいしながら、ぼうやの きつねのかえって
くるのを、いまかいまかと、ふるえながら まっていましたので、ぼう
やが くると、あたたかい むねにだきしめて、なきたいほどよろこび
ました。」
最後にM ちゃんは、もしお父さん、お母さんぎつねがいないのなら、人間がその子狐をひきとって育ててもいいのではないか、と発言をしたのにはなるほどと感心しました。
授業が終わるとあたりは暗くなっていました。帰りの山の石段をおりながら、ちょうど子狐が街明かりをぼんやりきれいだなと眺めたように、しばらくみなで市内の夜景を眺めました。
T ちゃんは山の下で待っていたお母さんに飛びついて甘えていたので、読んだ本の影響かなと私は思いましたが、お母さんは少し驚いておられました。
来週も、楽しい絵本を探してみたいと思います。
(2005.10)