宇梶 卓

「ことば」の時間では、読み書きの基礎について学んでいます。

「読み書き」というと、とにかく手を動かして文章を書き、目を動かして読むという印象が強いのですが、やはり基本としてはしっかり声を出して音読することが重要だと思います。ことばというものは身体が文字通り体得している「リズム」を基点として発せられるものだからです。このことは、ほとんどの子どもが替え歌を好むことからも明らかであるように思われます。

これまでの授業では、おもに俳句を作って詠んだり、宮沢賢治や新美南吉などの童話作家の作品を読み合せたりしてきました。文章を書くのが苦手な生徒でも、俳句となるとスラスラと詠んでしまうことができますし、また多くの童話を丁寧に音読することで、句読点での息継ぎ、文章を読む際の声の抑揚など、文章を読むときのリズムを把握できるようになりました。

最近は作文に取り組んでいますが、俳句などの韻文から散文に移行するのはなかなかの難問で、当初はなかなか生徒の手が動かなかったというのが正直な話です。今は日記という形で文章を書き、お互いに発表することで少しづつ文章に慣れていっているというところです。決して無理強いはせず、生徒が自分自身で文章のリズムを体得できるよう、楽しくやっています。

この授業の目指すところは、「自分探し」ならぬ「ことば探し」です。これからも生徒たちと「ことば探し」を続けていきたいです。
(2005.2)