下村 昭彦

x=√5+1 / 2

これは、二次方程式x2-x-1=0 の解のうちの一つです。高校1年生で習う解の公式さえ知っていれば、誰でも解ける問題です。では、この数字の意味するモノは?

数学とは、数や式の意味を追求する学問です。この数字が何を意味するのか、この数式は何を意味するのか。そして、物事を数式で表すことでより理解を深めようとする学問です。

お見せした数には二つの意味があります。その一つは、フィボナッチ数列(1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21,…と続く数列)のある項とその前の項の比の極限です。そして二つ目の意味は黄金比です。

今の学校教育では、残念ながらこの二次方程式の解き方を習う際に、この式が何を意味しているのか、ということを習うことはありません。しかし、フィボナッチ数列について考えるとき、黄金比について考えるとき、この方程式が解けなければその数の意味に辿り着くことができません。

計算練習ほど面白くないことはありませんが、計算力ほど数学について考える上で重要なこともありません。いくら面白いアイデアが生まれても、計算力がなければその考えを発展させることができないからです。

数学のクラスでは、数学のおもしろさや数式の意味を知ってもらうこと、そして自ら数学を学びたいと感じてもらうこと、を最終目標としています。

中学校2年のクラスでは、主に中学1年生の復習と授業の先取りをメインに行っています。中学の数学では文章題もさることながら、計算問題の練習が特に重要です。数学においては理解し、式を立てることこそがもっとも重要ですが、計算し解答まで導かなければ理解を活かすことができません。

にもかかわらず、計算問題はおろそかになってしまいがちです。そこで、このクラスでは計算問題にも力点を置き、文章題などの発展問題に進んだときにも計算でつまづいて数学を面白くないと感じることのないよう注意しています。

また、わからないところがあれば理解できるまでとことんつきあっています。数学嫌いを防ぐには、数学を面白いと思ってもらうことこそが最も重要です。生徒に数学を面白いと思ってもらえるよう、工夫を重ねていきたいと考えています。
(2005.2)