「山びこ通信」2017年度春学期号より下記の記事を転載致します。
『かいが』A・B
担当 梁川 健哲
気候のよい時は積極的に外へ出て描くことが多いです。そんなとき、クラスの前半は、何か素敵なものはないかと足元の草花や虫を観察したり、遠くの木立や空を眺めたり、一見して「しぜん」クラスのような時間が流れます。
何かを描こうという目的を持つと不思議なもので、いつもの「見る」という行為は「ものすごい『見る』」に変化します。そして、どんなに見慣れたと思っているものでも、「何度でも初めて見る」ことができます。私はそのようにして何かに向き合っている時間を何よりも大切にし、第一にこのことを実感してもらいたいと考えています。
また、私たちは「目を閉じて見る」ことも可能です。たとえば「感情の色や形」。みんなと対話を重ねていると、必ず見えなかったものが眼前に現れてきて、自分自身やお友達の心のカタチと向き合うことになります。それらもまた「初めて見る」世界です。
具象であれ、抽象であれ(または写実であれ、空想であれ)描くことは誰にとっても、捉えようとしては逃げていく色や形を何とか留めようとした努力の軌跡なのですから、まずはそれらを讃え合う気持ちをみんなが持てるような空気作りに努め、それぞれが「初めて見た世界」を喜び合いたいです。また、可能な限りそうした対話の中から「いかに描くか」という考え方についてのヒントを汲み上げ示唆することにより、それぞれにとっての「旬な学び」が生まれるよう導いていきたいです。
終わりのない、発見と探求。描くことを楽しみたいみなさんのご参加をお待ち致しております。