福西です。
『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』(斎藤淳夫、岩波文庫)を読んでいます。
第5章「甲板で」を読みました。この章は短いですが、心に残るシーンです。町ネズミのガンバは、はじめて海を見たのでした。その感動の大きさが読者にも伝わります。読者がこのあとのガンバのことをずっと応援できるのも、一つにはこの感動を思い出すからでしょう。シンプルに海に感動したガンバ。だからこそ、仲間たちの求心力として、まっすぐに、物事を解決していくのだろうと。その意味で重要なシーンだと思いました。
「これも海か!」
とおこったようなふるえ声でいいました。
「ああ、これも海だ。」
ヨイショが答えました。ガンバはまた走りだし、へさきまでいくと、またまた目の前に広がっている海をじっと見つめ、
「これも海か!」
と、泣き叫ぶようにいいました。
「ああ、これも海だ。」
するとまたガンバは走りだし、こんどは舷側にそって、横目で海をにらむようにしながら、一気にともまで走っていくと、はあはあ息を切らしながら、
「これも全部海か!」
といいました。
「ああ、これも海だ!」
ヨイショも、できるかぎりでかい声をだして答えました。
──『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』(斎藤淳夫、岩波文庫)5章
続いて、第6章の「いざ島へ」を途中まで読みました。
“「冒険者たち」を読む(ことば5~6年、2020/8/27)” への1件のフィードバック