福西です。この日は補講で最終日でした。
Reiya君が小説の第4話の続きを書いてくれました。それを読み合わせました。
また、学校で書いたというエッセイを持ってきて、紹介してくれました。
題名は『好きの力という才能』。
水木しげるの言葉「好きの力を信じる」が座右の銘である、という書き出しで、小学校四年生以降の自学(自主勉強)の思い出について書かれていました。
自学は、最初から好きだったわけではなく、転機があったとのこと。それ以来、「大嫌いな宿題から、一番好きな宿題に変わり、自由にテーマに取り組めるようになった」そうです。好奇心いっぱいのR君の今に至る様子がよく綴られていました。そういえば自作の小説にも、主人公には「負を正に変える、すばらしい能力」が備わっていることが書かれていました。
最後に、Reiya君のエッセイから、私が特に感銘を受けた個所を引用します。
例えば、将来どのような職業に就くのか考えるときも、興味のあるもの、好きなものから選ぶことで、その仕事を長く、楽しくやることができるようになると思います。
それに学習とは本来、自分で決めたテーマに沿ってやるものなので、こうやって、自分で楽しみながらテーマを探すのが、本当の勉強です。このような勉強には、やはり、「好きの力」が関わっていると思います。
好きの力とは、生活において様々な場面で使える、最も強力で、誰もが持っている、素晴らしい才能だと思いました。
「最も強力で、誰もが持っている」という、Reiya君の気付き。デカルトの『方法序説』の冒頭を連想しました。
4月には京都を離れるというReiya君。エッセイで書かれたその「好きの力」を基とする限り、常にReiya君は自分の道を歩いていると信じています。その前途を蔭ながら応援しています。
福西先生
本当にありがとうございました。
入学式後、Reiyaが私との別れ際、急に泣き顔になりました。飛行機の時間が決まっていましたので、後ろ髪を引かれる思いでタクシーに乗りましたが、Reiyaにとって、これで良かったのか、本当に悩みました。泣きながら京都まで帰る間に、二人も知らないお母様から声をかけていただき、話を聞いていただき、慰めていただきました。そして少し落ち着きました。「共感」という言葉が、とてもリアルに感じられました。Reiyaは、福西先生にいつも「共感」していただいたのだと思います。その後、毎日、Reiyaは電話をかけてきてくれています。寮生活に文句を言いながら、私の言葉にも丁寧に耳を傾け、そして、また、考えたことを話してくれます。寮には「義務自習」という名の勉強時間が1日3時間ほどあるのですが、この時間を、とても楽しみにしています。ノートをたくさん送ってほしいと言われました。まだ英語の辞書を購入していないのに、英語の教科書に載っているお話を読みたくて、教科書の後ろにある単語のページなどを参考にしながら、「独学だけど、翻訳してみようと思って」と言うので驚きました。これが「好きの力」なんだな、と思いました。京都へ帰省した時は、またよろしくお願いいたします。
福西です。
Reiya君のお母様、貴重なエピソードを
お話ししてくださり、ありがとうございます。
涙を目にし、「これで良かったのか」と揺れ動く
その真心こそが、一番ありがたいものなのだと、
感銘を覚えました。
お母様が喉をふるわせたことこそが、Reiya君に
とっての「リアル」であり、これからの彼の
未来にとっての、かけがえのない動力なのだと察します。
>寮生活に文句を言いながら、
文句は心をオープンにしている証拠ですね。
Reiya君の愛読書の『ハリー・ポッター』にたとえると、
その寮生活が、グリフィンドールみたいになればいいなと
念じています。
>ノートをたくさん送ってほしいと言われました。
これには、感激しました。さすが! Reiya君らしいです。
このような純粋さこそが、彼の強みですね。
>「独学だけど、翻訳してみようと思って」
以前、Reiya君が話してくれましたが、英語の字幕の翻訳を
お母様と一緒に挑戦されていたのですね。興味が続いている
ことに、私も思わず嬉しくなりました。
その「好きの力」を存分に伸ばしてほしいと念じています。