『クローディアの秘密』を読む(西洋の児童文学を読むA・C)2021/5/6(その1)

福西です。

『クローディアの秘密』(カニグズバーグ、松永ふみ子訳、岩波少年文庫)を読んでいます。

第3章「美術館での第一夜」を、小学生クラスはp54まで、中学生クラスは最後まで読み切りました。

家出が「快適でない」ことに、クローディアはさっそく腹を立てます。

足が疲れるという理由で、美術館までタクシーを拾おうとしますが、ジェイミーが猛反対します。

「使うのはぼくのお金じゃない、ぼくたちのお金なんだ」

と。これは、前章でクローディアが、

「あたしたちはひとつなのよ。そりゃ使うお金はあんたのかもしれないけど」

と言ったのを踏まえています。

結局ジェイミーの意見が通り、四十ブロックを歩きます。

離れて、無言で歩く二人。

その間、クローディアにはこう思えてきます──思い通りにいかない状況が、まるでジェイミー一人のせいであるかのように。

クローディアは、けんかが必要でした。体内の熱──これは怒りの熱です──が、例の蓄積された炭酸ガスをぐつぐつと煮こみはじめました。(p45)

心理描写に「炭酸ガス」といった化学の用語を使うのは、カニグズバーグの一つの特徴です。たとえば、このあとも、

いちばんこまるのは、九歳のジェイミーのからだの中の、細胞という細胞がどきどき脈うって今にも走りだそうとするので、そのエネルギーを一つにまとめておさえつけて、おとなしいかたまりにしなければならないことでした。(p110)

など。探すともっと見つかるでしょう。

(その2)へ続きます。