福西です。
『クローディアの秘密』(カニグズバーグ、松永ふみ子訳、岩波少年文庫)を読んでいます。
第3章「美術館での第一夜」を、小学生クラスはp54まで、中学生クラスは最後まで読み切りました。
家出が「快適でない」ことに、クローディアはさっそく腹を立てます。
足が疲れるという理由で、美術館までタクシーを拾おうとしますが、ジェイミーが猛反対します。
「使うのはぼくのお金じゃない、ぼくたちのお金なんだ」
と。これは、前章でクローディアが、
「あたしたちはひとつなのよ。そりゃ使うお金はあんたのかもしれないけど」
と言ったのを踏まえています。
結局ジェイミーの意見が通り、四十ブロックを歩きます。
離れて、無言で歩く二人。
その間、クローディアにはこう思えてきます──思い通りにいかない状況が、まるでジェイミー一人のせいであるかのように。
クローディアは、けんかが必要でした。体内の熱──これは怒りの熱です──が、例の蓄積された炭酸ガスをぐつぐつと煮こみはじめました。(p45)
心理描写に「炭酸ガス」といった化学の用語を使うのは、カニグズバーグの一つの特徴です。たとえば、このあとも、
いちばんこまるのは、九歳のジェイミーのからだの中の、細胞という細胞がどきどき脈うって今にも走りだそうとするので、そのエネルギーを一つにまとめておさえつけて、おとなしいかたまりにしなければならないことでした。(p110)
など。探すともっと見つかるでしょう。
(その2)へ続きます。