『リンゴ畑のマーティン・ピピン』を読む(西洋の児童文学を読むC、2021/10/14)(その2)

福西です。その1の続きです。

これまでの展開のまとめです。

 

1週目の土曜日 

 ペパーの蹄の1つ目の交換。そのとき、ルビーを見つけ、鍛冶屋の若者に渡す。

若者と握手しようとするが、「とても汚れているんだ」と拒まれる。

若者は大おばのところへ行く。「台所にケーキがある」というが、王は手をつけない。

 新月。

池で、ほとんど後ろを向いた女性が遠くに見える。

王は「もっと見たい」と思うが、くしゃみが出て、黙想を思い出し、逃げる。

 

2週目の土曜日

 ペパーの蹄の2つ目の交換。そのとき、真珠を見つけ、若者に渡す。

若者と握手しようとするが、「とても汚れているんだ」と拒まれる。

若者は大おばのところへ。「台所にケーキがある」というが、王は手をつけない。

 上弦の半月。

池で、横を向いた女性と出会う。

王は「近づきたい」と思うが、くしゃみが出て、黙想を思い出し、逃げる。

 

3週目の土曜日

 ペパーの蹄の3つ目の交換。そのとき、ダイヤモンドを見つけ、若者に渡す。

若者と握手しようとするが、「とても汚れているんだ」と拒まれる。

若者は大おばのところへ。「台所にケーキがある」というが、王は手をつけない。

 満月。

池で、正面を向いた女性と出会う。

王は「触れたい」と思うが、女性が近づいてきたので悪魔の誘惑だと思い、くしゃみが出たので、逃げる。

 

【補足】

鍛冶屋の若者は、この間の月曜日、いつも不機嫌。

王はそれを自分の気が散っているせいだと思い、ますます鍛冶の仕事に精を出す。

 

4週目の土曜日(鍛冶屋の仕事と黙想の最後)

 ペパーの蹄の4つ目の交換。そのとき、オパールを見つけ、若者に渡す。

若者と握手しようとするが、「とても汚れているんだ」と拒まれる。別れのあいさつに肩を抱く間、若者はじっとしている。

若者は大おばのところへ。「台所にケーキがある」というが、王は手をつけない。

 下弦の半月。

池で、横を向いた女性と出会う。

女性はすぐに逃げる。王はくしゃみを我慢しながら、追いかける。

※以下はネタバレなので、ご注意。

 

 

5)5週目の土曜日

再び新月。

王は、入水自殺するつもりで、池に顔を浸す。

すると、池にランタンを持った女性が現れる。

見えないから近くに来てほしいというと、暗闇から「とてもよごれているのです」という声が返る。

王は、声の主が鍛冶屋の若者だと気づく。

鍛冶屋の若者が体中の黒い炭を落とすと、果たして、池で会った時と同じ、月のような姿だった。

「わたしは、あなたの女です。」と。

一度に失ったはずの二つのものが、一致するという物語でした。