福西です。
『リンゴ畑のマーティン・ピピン』(エリナー・ファージョン、石井桃子訳)、第2話「若ジェラード」を読んでいます。
シアが結婚すると知って、若ジェラードはショックを受けます。
そして若ジェラードは、はじめてジェラードじいに反抗します。ジェラードじいは若ジェラードを鞭打ちます。「奴隷が主に逆らうと、どうなるか」を思い知らせます。そこへ、老婆がやってきます。彼女は、この物語の冒頭で、赤ん坊だった若ジェラードを預けたその人でした。
「若者は、ときには夢をみる。羊飼い、働くばかりが生きることではない。」
「そのほかに何がある?」ジェラードじいは聞いた。
「喜び。」
「は、は、は!」とジェラードじいが声をあげた。
「それから力。」
「は、は、は!」
「それから勝利。」
「どれいには、そんなものはねえ。」ジェラードじいがいった。
老婆は、「おまえも、一度は若かった」と言いますが、ジェラードじいは「それがどうした?」と答えます。図星をさされ、返答に窮したからでしょう。それに対して、老婆は、ただ「おやすみ」と言って去ります。
ジェラードじいは、若ジェラードの若さを妬んでいます。それは(すべてを環境のせいにする)自分のせいであり、若さを失ったのは、21年間もただ金貨を数えて無駄に過ごしたからでした。
この「老婆とジェラードじい」のやりとりは、このあとの「老婆と若ジェラード」のやりとりと対照的です。