『赤毛のアン』を読む(西洋の児童文学を読むB、2022/6/17)(その1)

福西です。

『赤毛のアン』(モンゴメリ、村岡花子訳、新潮社)を読んでいます。

p37~48を読みました。第2章の残りと、第3章の冒頭です。

第2章では、アンとマシューはすっかり気心が知れて、ドライブ中の会話を楽しみます。アンはプリンス・エドワード島の夕方の光景に心をうばわれ、その感動をマシューに伝えます。その夢見る様子に、マシューは、あとでマリラから揶揄されるように、「魔法をかけられ」てしまいます。

第3章では、グリーン・ゲイブルスに到着します。マリラとアンが対面します。マリラは “Who’s that?”  “Where is the boy?” とマシューにたずねます。アンは自分が手違いでここに来たと知り、ショックを受けます。そして自分が美人ならおいてもらえるか、と尋ねます。マリラは事務的に「男の子しか、うちにはいらない」と、アンを拒絶します。

この作品の面白さは、全員が最初からアンの味方ではないことです。その分、読者が味方になって読むという、一種の勾配が生じます。

マリラは、堅物で地味な女性です。愛情よりも義務を優先し、私情よりも筋を通します。そんな彼女を、作者は「この人の気持ち、よくわかる!」と読者に思わせるように描いています。この作品の何とも言えない魅力の一つです。

(その2)に続きます。