西洋古典を読む(2022/9/7)(その2)

福西です。ウェルギリウス『アエネーイス』(岡道男・高橋宏幸訳、西洋古典叢書)を読んでいます。

(その1)の続きです。

 

さて、砦内に入ったトゥルヌスには、2つの選択肢がありました。

1)門を開き、仲間を呼び込む

2)砦の中で一人で暴れる

トゥルヌスは、2)を選んだのでした。黒子ではなく、ワンマンプレーに走ったのです。これは若さゆえであり、また大局を見ていない、dementiaだと言えるでしょう。

作者は、もしトゥルヌスが1)を選んでいれば、トロイア人は滅んでいただろう、と言います。

また別の角度から見れば、

ローマ的英雄であれば、全体に貢献することをよしとする1)を選び、

ギリシャ的英雄であれば、個人的な名誉をよしとする2)を選ぶ、

とも解釈できそうです。

9巻もあと残りわずかです。