福西です。
ラテン語のじつにいい感じのフレーズを見つけた時。
出典と日本語訳は、書いてあった。
でも、どうしてそういう意味になるの?(どれが名詞で、どれが動詞?)を「調べたい!」という時。
そこで出番となるのが、またまた、どん、ペルセウス・プロジェクト。
これには辞書がついていて、1つ1つの単語から、その辞書(LSJ)へ飛べます。すごいですね。
たとえば『アエネーイス』2巻48行。
equo ne credite, Teucri.(Aen.2.48)
エクォー・ネー・クレーディテ・テウクリー
「あの馬を信じるな、トロイア人よ」
を調べてみます。
equoをポチると、
equus =a horse ←意味
noun 名詞 ←文法用語(はぜひ知っておくのが吉)
sg 単数 ←〃
masc 男性 ←〃
dat 与格(~に)←〃
から、
「馬に」
と分かります。
次に、日本語訳では「あの馬を」だったのに、なんで「に」なの? という疑問がわくと思います。
ひとまず、ne は notの意味。
つぎに、crediteをポチります。
すると、credoが出てきます。
文法は、
verb 動詞
2nd 2人称
pl 複数
pres 現在
imperat 命令
act 能動態
→ne(not)と合わせて「お前たち~するな」と。
でも、意味が to give as a loan とあり、「え?」となると思います。(私はなりました)
そこで、
Lewis & Short(より大きい辞書)
をポチ。
すると目がチカチカしますが、Ⅱ-Bに、
to trust
が見つかります。with Dat.の用法で「(与格のもの)を信じる」と。日本語でも「~に信を置く」と言いますね。
これで、equo ne credite は、
「(おまえたち)馬を信じるな」
だと読み解けました。
最後の Teucri は Teucer(ないしTeucrus) の男性・複数・呼格。
「テウケル人よ」
となります。(テウケル人はトロイア人のことです)
あと、「馬」が「あの馬」になるのは、ラテン語には冠詞がないからです。
the horse/a horse で、theの方を選んだというわけです。
以上、めでたしめでたしです。
【補足】
本当は、「この単語はこの意味でとるべし」というコメンタリー(トラの巻みたいな注釈書)を参照するのがベストです。ですが、興味の入り口としては、それでいいと思います。