
高木です。
今日は川路柳虹(かわじ・りゅうこう)の「暮れがたの海べに立ちて」を朗読しました。
身もだえて、
なお消えがてに
燃えさかる
夕べの雲。
日は沈み、
帆かげもなきに、
なおのこる
紅き夕雲。
わがなやみ、
海の青さに
しずまらず。
今日も砂の上(へ)。
こともなく
貝を碎(くだ)きて、
胸に沁む
波の音(ね)をきく。
波は浜に寄せ、胸に沁みこみます。「波が胸の中に入って来るんやで」と言ってくれたM君は、この詩の情景を深く感じてくれているようでした。書き取りをしながら、「沁みる」が、「染みる」ではなく、「氵(さんずい)」に「心」だということに、注目してくれていました。
『絵のない絵本』の「第三夜」は悲しいお話です。お月さまが空から常々見守っていた美しい娘が、金の亡者のような商人に嫁いでしまい、終には若くして死んでしまうのです。こう語るお月さまの話の中には、何度もバラが登場します。かつて美しく咲き誇り、現在は萎れてしまっているバラの花が、この娘の一生を喩えていることを、T君は指摘してくれました。