福西です。『数学が生まれる物語 1数の誕生』(志賀浩二、岩波書店)を読んでいます。
p42~49、「倍数と約数」の箇所を読みました。
M君は「ユークリッドの互除法」(最大公約数を見つけるアルゴリズム)の計算手順と、ルカス(リュカ)の見つけた素数について前に出て解説してくれました。
(補足:予はノギヘンががいります)
なお、テキストに挙がっているリュカの素数
2127-1=170|1411|8346|0469|2317|3168|7303|7158|8410|5727
は、メルセンヌ数(2p-1)と呼ばれる数の1つです。
(授業でフェルマー数と言いましたが、間違えました。すみません)
互除法の計算が有限回で終わることの理由に、M君は「1が最小単位だから」と述べてくれました。自然数は1で割り切れるから、最悪でも1を最大公約数に持つ、というわけです。
さてユークリッドの互除法は、ふつう自然数で考えますが、実は無理数についても考えることができます。ただしその場合は、有限ではなく無限回のステップになります。テキストのp108~113にその記述があります。「√2を近似する」という項目です。さらに詳しい情報は、私もこことここに書いています。(こちらは高校生ぐらいになったら読んでほしいなと思います)。
次にEさんは、互除法の長方形の図による原理と、章末問題の2について、前に出て解説してくれました。
図による説明は、自家薬籠中にされていることが大変よくわかりました。
章末問題2について、この日、帰納的な発見がありました。大変興味深い出来事だったので、このあと稿を分けて書きます。
残りの時間は、ここ数回に分けてモノコードを使って、ピタゴラス音階を見ています。この日はピアノの調律で使われている十二平均律を再現しました。
Eさんがそのためにクラブで使っているチューナーを持って来てくれました。それで音階を作り始めました。(偶然一致したD(レ)を基音としました)
Eさんには30~60cmの間に1オクターブ分の弦の長さを作図してきてもらいました。M君には電卓による検算を担当してもらいました。
a=2の12乗根≒1.05946309…(無理数)
2の12乗根というのは、その数を12回かけると2になるような数、という意味です。
a2=1.124…
a3=1.189…
a4=1.259…
…
a12=2(1オクターブ)
これで60cm(開放弦=レ)を割って、弦の長さを決めます。
60cm レ
60÷a=56.63… レ♯
60÷a2=53.45… ミ
60÷a3=50.45… ミ♯
60÷a4=47.62… ファ
…
60÷a12=30 レ(1オクターブ)
という感じです。
だいたいそのような音階がチューナーで確認できました。
周波数は以下の通りです。
レ 587Hz
レ# 622Hz
…
レ+1 1175Hz
(間は約1.059倍)
参考:「音名と周波数」
周波数(弦の振動数)は、物理的には、弦の張り(張力)と弦の太さ(綿密度)、そして弦の長さの3つの要素で決まります。この物理法則が変らない限り、私たちのとうに死んでいる何百年か後でも誰かが同じ方法で同じ音色を出すことができるのでしょう。地味な実験ではありますが、なるほどSOUNDは国境だけでなく時代も超えるのだなと思いました。