年長児は劇に取り組んでいます。
今回の脚本の元にはイソップ寓話があります(一本橋のヤギ)。
古代ギリシアの物語を現代日本でアレンジしなおしているわけです。
一種の本歌取り精神です。
古代ギリシアの文化に魅了されたローマ人は、星の数ほど多くの「本歌取り」を行います。
「征服されたギリシアは野蛮な征服者(ローマ)を(文化的に)征服した」(ホラーティウス)
ルネサンスしかり、現代につづく欧米文化しかり。
ギリシア神話は汲めども尽きぬ文化の源泉として、今に影響を与えています。
ただし、守るべきルールがあります。
ディズニーの「ヘラクレス」(1997)はギリシアで上映禁止になりました。
伝承において、英雄ヘラクレスはゼウスと人間の女性の子ですが、この映画ではゼウスと妻ヘラの子となっていました。
ギリシア神話を少しでも知る者にとって、これは絶対にありえない設定です。
ヘラクレスは生まれたときからヘラに憎まれ、この女神の与える難行苦行をことごとく克服してクレス(栄光)を得た英雄です。
日本のアニメでも、ジュピター(ゼウスに相当)やマーズ(軍神マルス)を女の子の名前につけていた例がありますが、これもご法度です。
ただしローマ神話の命名なので、イタリア人がこのアニメのキャラクター名をどう思うのかがポイントです。
日本アニメも今やワールドワイドですから、ちょっと気になるところです(まさか上映禁止とはなっていないでしょう)。