幼稚園の世界において、「絵」は「歌」とともに日常的なものですが、「歌」が合唱を中心とするのに対し、「絵」は基本的に子どもが自分一人で表現する世界として、大人の注目を集めます。
とりわけ、自分の子を大事にする親にとって、自分の子の描く絵は、歌以上になんらかの評価の言葉を日頃から無意識のうちに与えがちです。
では、子どもたちの描く「絵」について、大人はどのような言葉でそれを評価するのか、あるいはあえて言葉を慎むのがよいのか?
どちらが正解かを議論するのはあまり意味があるようには思いません。
というのは、「ほめればよい」と信じて心にもない言葉を羅列しても意味はなく、といって、一切の言葉を自重しながら、しかし、両目で子どもの手の動きを凝視するというのでは、子どもが萎縮するでしょう。
私は発想を変えて、子どもが絵を描くのを横でじっと見つめるのではなく、親が一人間として、楽しんで「絵を描く」ことをお奨めします。
子どもが絵を描いていたら、その子の姿を絵にするというのも粋なものです。
子どもは放っておいても集中する力を持っています。
絵に限らず、子どもが何かに集中できる「雰囲気作り(or 守り)」こそ、大人が大人として工夫しないといけない点だと思われます。
(たとえば、小学校以上の子どもに対して「勉強しなさい」というのは慎み、代わりに親が何かを真摯に学ぶ。その姿が子どもの向学心を高める、など)。