このたび「「なわとび1222回とべたよ」と題する「保護者の声」を頂戴しましたので、ご紹介します。
「なわとび1222回とべたよ」
次女の幼稚園での体験を、保護者の声としてお伝えしようと思いながら、その子がもう小学校6年生になってしまいました。ずいぶん前のことで情報としては古いのですけれど、おやまのようちえんの雰囲気は変わっていないはず、と思い書かせていただきます。
お姉ちゃんが楽しそうに通っているのをずっと見ていて、私も早く幼稚園に行きたい、と願っていた次女は、入園初日から行き渋ることなく、幼稚園生活を満喫しました。毎日が楽しい日々だったと思いますが、保護者である私の心に一番残っているのは次のエピソードです。
帰宅後「今日うれしかったことがある」と前置きしてから、ずいぶんもったいぶって、「なわとび(先生2人が回してくれる大なわをひっかかるまでひとりで続けて飛ぶ)連続で1222回とべたよ」と教えてくれました。そして、記念にカレンダーのその日のところに「1222」という数字を書きこんでほしい、というので、一緒に書いたら、満足そうにしていました。
本人がそれだけとんだことにも驚きですが、親としては、それだけの回数を数えながら回してくださった先生に、本当に感謝しました。いつまでも回してもらって自分がとびたいだけとぶなんて、いつでも誰でもできることではないでしょう。そして、「あなたがそれだけとんでいる間、ほかのみんな退屈だったんじゃない? はやく代わって、とか言われなかった?」と大人視点での心配を伝えたら、何言ってるの?という顔で、「みんな応援してくれたよ」と言うのです。なんと素敵な空間でしょうか、、、自分がはずかしくなりました。先生方みなさんの子ども一人ひとりを大切にする姿勢が、子どもたちにも浸透することで、そんな素敵な空間が広がるのだと思いました。
次女がそのとき熱中していたのがたまたま大なわとびでしたが、ほかにも砂遊びや色水つくりなど、そのときそのときでさまざまなことに子どもたちが熱中できる空間を、先生方は提供してくださっていました。子どもたちが小学校、中学校、高校と年齢が進みますと、あの熱中する体験こそが、主体的な学習のねっこであると感じます。探求学習というものが推奨されているようですが、押し付けられた探求学習では本末転倒のように感じるのです。子どもたちは毎日毎日楽しく遊びながら、主体的に学ぶ(生きる)種をひろっていたんだなと思います。なわとびで1222回とべた、という体験は、たくさんとぶことができた、というだけではなく、「1222」という大きな数を、座って頭で学習するのではなく、身体を通して知った体験でもあったと思います。
幼稚園の年頃は、教え込めばなんでも覚えてしまうような記憶力があり、机上の学習をさせないともったいない、という気持ちにもなりますが、深い理解なく記憶したものは、忘れ去られるのも早いものです。次女は4年生のときだったか、「自分は『大きな数』の単元が得意なんだけど、結構苦手な人多いんだよ」と言ったことがありました。そのとき、この大なわとびのエピソードを思い出して、直接関係はないのかもしれないけど、身体を使って大きな数を体験したことがどこかで役に立っているのかもしれない、と思った次第です。
長女も次女も、主体的に学ぶ(生きる)種を、幼稚園でたくさんひろって卒園してくれて、本当にありがたかった、と思っています。今、これから、おやまのようちえんに通うみんなも、思いっきり遊んでたくさんの素敵な種をひろってほしいな、と願っています。
この記録達成の日は2020年2月5日で、私はたまたまこの日園児たちの遊びの様子を動画で撮影していました。3分半ほどにまとめた動画があり、その1:30あたりに記録達成の瞬間が収められています。
一人一人の卒園児に大切な思い出の種があり、それが中学、高校と成長されたのち、大きく花開くのを伝え聞くとき、私自身深い喜びに包まれ、大きな励ましを頂いた気持ちになります。
これは私だけでなく、幼稚園の仕事に関わるすべての先生に共通する喜びではないかと思います。
ありがとうございました。
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