絵本のことは何度も取り上げているテーマです。
何かのデータによると、幼稚園、保育園の絵本の数は小学校と比較し、圧倒的に少ないそうです。
本園はさいわい絵本のストックは相当数にのぼりますが、私は幼稚園、保育園の場合は、量より質が大事だという考えです。
したがって、良質の絵本を大切にしている幼稚園、保育園の場合、数が少なくても無問題です。
私が保育者なら、と仮定すると、たぶん同じ本を何度も読むでしょう。
ちょうど、俳句の練習も、何度も同じものを繰り返し唱えたり、同じ俳句を何日にもわたって取り上げて朗誦するのと同じです。
この季節にはこの絵本(あるいは紙芝居)という自分の十八番をもつことが保育者には求められていると思います。
それは自分が子どものころに読んでもらった絵本でもよいし、実習の時はじめて読んだ思い出の紙芝居でもよいでしょう。
子どもの前では心をこめて読むことがもっとも大切で、それにはその本自体が自分にとって大切な本だという意識が不可欠です。
家庭でも同じです。親の思い出の本を繰り返し読んであげるとよいでしょう。新しい本を興味本位に買うよりも(それがダメとは申しませんが)。
私が経験上言えることは、子どもは心のこもったものは「飽きない」。心がこもっているかどうかの判断はとても「鋭い」というものです。
親子にとって大切な絵本が数冊あれば、親の感覚で「飽きるのでは?」と思っても、じつは子どもは飽きません。
親は大人なので子ども以上に飽きっぽいといえます。
ためしに親もがんばって繰り返し読んでいくと、声の調子を毎回少し変える楽しさをみつけたり、子どもの合いの手の言葉にもうまく受け答えできたり、というアドリブの要素で楽しみが広がることにきづきます。
一期一会といいますが、同じ本を同じように読んでいるつもりでも、毎回何かが違います。その違いが親子(または保育者と園児)双方にとって楽しみにつながれば、そのような読み聞かせタイムは至福のひと時として、大人にも子どもにも心の奥に記憶されていくでしょう。