教育では「待つ」ということが大切です。私は幼稚園の俳句の時間を通し、このことを実感します。

例年、年長児に俳句を教え始めると、5月ごろから「覚えた人?」といって発表させていたのですが、今年は「待つこと」が大事ではないかと考え、運動会が終わるまで子どもに発表させるのを控えていました。

運動会でクラスが一つになり、子どもたちが大きな自信を得ることを期待しての措置でもありました。

「脇見せず真剣に耳で聞く」、「みんなと声を合わせて復唱する」、この2つのことを根気よく半年ほど続けました。

その結果、「今年は違うな」と思わずにいられません。どのお子さんも、発表するときの姿勢が違うのです。当たったときの姿勢、発表しているときの姿勢、発表が終わってからの姿勢、これらの姿勢がどのお子さんとも共通してきちんとできています。

個々の差はありますが、皆落ち着いて、よい姿勢、よい発声で発表できています。発表を聞く態度もよくできています。

やはり運動会でどのお子さんも精神的に大きく成長されたことが大きいと思います。

5月、6月の段階で発表をさせた場合、「よく言えたねぇ」と、発表の態度や姿勢には目をつぶり、発表できたこと自体を過大評価しがちです。

また自信が半分くらいでも手を挙げてしまうノリのよいお子さんが当たる傾向があり、照れながら発表する子ども、中途半端なできばえでも発表したことになる、といった例が多くなります。

その結果、従来は2学期になるともはや「発表することの厳粛さ」が薄れてしまう可能性がありました。

やはり、ほめるときには、ほめるに値するものをほめないといけません。今の年長児の俳句は「ほめるに値するものをほめる」という点で、私も晴れ晴れした気持ちになります。
子どもの成長には何かを始めるにふさわしい時期がある、とつくづく思います。早くから始める、早くからできる、だからよい、とは単純に言えない面が多々あるように感じます。

じっくり大きく育てること。そう思ってみると、家庭での過ごし方についても、いろいろ発見があるかもしれません。

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