ローマの哲人セネカに次の言葉があります。

損なわれたことのない幸福はいかなる打撃にも耐えられない。(『摂理について』2.6)

お膳立てされた幸福はもろいという趣旨です。

幼児教育に引き寄せて意訳すれば、「可愛い子には旅をさせよ」となるでしょう。

これからの時代、「不便の中から幸福を見出す力」がますます試されるように思います。

Less is more.(少ないほど多くなる)という言葉もあります。

子どもたちを見ていると、本来人間には手ぶらで幸福を生み出す力が備わっていることを実感します。

手ぶらで森に行って「することがない」と困る子はいません。

追記
セネカほど波乱万丈の人生を生きた人はいないでしょう。

彼は皇帝の最側近として当時最高の地位を手にしていましたが、晩年すべてを捨て去り、著作に没頭します。

「自然に従え」という思想には、老荘思想と通じるところを感じます(個人の感想です)。

岩波文庫の作品もよいのですが、本当に面白いのは『倫理書簡集』(岩波書店)です。ただし入手困難です(古本も高額で取引されています)。

図書館で借りる機会があれば是非。

世の中凄い人がいるもので、全部個人で訳して公開しているサイトがあります。
https://potemalu02.hatenablog.com/entry/2024/02/24/160138

セネカの思想全般にふれるには、『ローマの哲人 セネカの言葉』(中野 孝次著、講談社学術文庫)がお勧めです。

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