佐々木正美氏(児童精神科医)の言葉を紹介します。短いですが、ヒントが詰まっています。

しつけというのは結局のところ、禁止や強制から始まる。「こうしなさい」「これはいけません」と言うことである。しかし、大事なことは、それがいつできるようになるか楽しみに待ってやることだ。子どもの自律心は、待ってやることで、はじめて育つ。他が律するのではない。

子どもは試行錯誤して前に進んでいます。何をしてもよいということではなく、よいこと、悪いことの区別を学ぶ必要があります。

性善説に立ち、信じて待つことが「自律心を養う」上で大事だということであり、「他が律する」ことに慣れた子は自分で判断することに不慣れなまま大きくなります。「律する」とは英語で言えば、コントロールするということであり、信じて待つことはコントロールでなく、子どもの自律性をリスペクトすることにほかならないと思います。

コントロールかリスペクトか。どちらか一つには絞れないにせよ、この違いが大きいことに気づくかぎり、ジグザグしながらもうまく子どもとの関係を保てると思います。

子どもの気持ちになって考えればよくわかると思うのですが、有無を言わさぬ強いコントロールも、万事傍観する(=見て見ぬふりをする)態度も、子どもの心の発達にとってマイナスの要素が大きいです。

このブログでは何度も紹介していますが、今回紹介したテーマ(コントロールかリスペクトか)は、ローマの喜劇作家テレンティウスが『兄弟』で扱った古くて新しい問題です。

>>『兄弟』(解説)

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