仕事柄、子どもについ叱りすぎるという母親の反省の声を聞く機会があります。そのようなとき、わたしは腹の底から本気で「ダメ!」と叱るときはどういう状況か、イメージしてもらうことにしています。「絶対にダメ」という基準を持つと言うことです。それは例えば命や生きる道に関わる一大事です。

一方、ふだん、私たちはややもすると「ダメ」という言葉を比較的軽微な状況で使っています。そうすると、それ以上のレベルに遭遇すると、言葉の強弱で調整するしかなくなります。いつもは「優しく」「ダメ」と言い、ちょっと困ったことをしたら、「きつく」「ダメ」と言う。どちらに転んでも用いている言葉は「ダメ」だけであるということはないでしょうか。

子どもは大人が思う以上に言葉の意味を額面通りに受け止めます。

さて、大人の話がしっかり聞けるというのが本当であれば、その大人であるお母さんが、「ダメ」しか言われないのでは、せっかくの説明のチャンスを失うようで、もったいないです。たびかさなると、「なぜダメってばかり言われるのかな?」と理解しがたい気分にもなるでしょう。

大人の自分が子どもになってみて、つまり、立場を逆にして考えるとイメージがわきやすいです。

逆に、普段は対話によって子どもに非を悟らせ、次に同じ状況ではどうすればよいかを諭すやり方をとっておけば、いざというときの「ダメ!」に重みが増します。伝家の宝刀(ダメ!)は簡単には抜かないでおくことをお勧めいたします。

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