常々言葉の力は大きいと思います。
昨晩NHKで戦争をテーマとしたドラマ(「昔はおれと同い年だった田中さんとの友情」)を見ました。心に響くドラマでした。
最後のところで、なぜ戦前・戦後で戦争に対する考えを簡単に変えたのかと少年に詰問された主人公の老人いわく、戦争中は自分でものを考えなかった、戦争が終わって自分で考えるようになったという考えの変節を淡々と述べ、心からの叫びとして「いまの私は戦争に反対です」と訴えました。
印象的だったのは、戦争で父を失い、特攻隊で兄を失ったことに触れ、盲目的に周りの言うことをうのみにした自分が、彼らを死に追いやった、という認識を示したことです。
昨日の話と重ねるなら、「誰々がそう言った」をおうむ返しにしていた自分を反省したわけです。
身近なところ、自分自身の心の中にこそ、好戦的な空気をあおる要素が潜んでいるという言葉は、誰の胸にも突き刺さる重い言葉です。
今は平和な時代ですが、身の回りには多数の「誰々がそう言った」がうようよしていて、我々の心の隙間に忍び込もうとしているように思います。
これからの未来を担う子どもたちにとって、自分でものを考えることがますます大事な意味を持つでしょう。
子どもたちに何をどう伝えればよいか、昨日のドラマは静かに深く語りかけていたように思いました。