少し秋を感じさせる気温になりました。

秋来ぬと
目にはさやかに見えねども
風の音にぞ
おどろかれぬる

『古今和歌集』(秋歌上169)に見られる藤原敏行の和歌です。

立秋に詠まれた和歌と伝えられますので、現代だと8月上旬に秋の気配を感じたということになります。

猛暑の続く今年などでは想像しがたいことですが、そう言われてみると、確かに五山の送り火(8月16日)前後に秋の訪れを感じた経験があります。

個人的な意見ですが、京都の夏は祇園祭の山鉾巡行あたりから始まり、五山の送り火で徐々にフェードアウトするというイメージがあります。

さらに言えば、送り火とともに夏休みも残り少なくなり、宿題が気になり始めるという思い出もそれに付随しています。

このように考えると、この和歌は本来秋の訪れを感じて詠まれたものでありながら、行く夏を惜しむ歌と読むこともできるのではないでしょうか。

いずれにしても、今日は秋分の日。猛暑も徐々に影を潜めていきそうです。

関連記事: