幼稚園の子どもたちは、はじめての集団社会の中で、譲ったり譲られたりしながら、また、困っている人を助けたり助けられたりしながら、交渉力や協調性を身に着け、人としての自立心を磨いています。
また、互いに力を出し合って一人ではできない大きなことに挑戦したり、くじけそうなときにも自分で勇気を出して乗り越える経験を積んでいます。
たとえば、本園の歩いての登園スタイルは、家であれば「抱っこして」と言えるところ、自分で歩くようになります。
入園当初、歩くことに慣れない年少児がいても、周囲の年中児、年長児が手を差し伸べて応援してくれます。
グループの先生は、全体を見守りますが、一人一人に手を差し伸べるのはそうした子どもたちです。
その子どもたちは、年少児の時に年中・年長児に親切にしてもらった経験をもつため、自分が親切にできるチャンスを得ると、進んでその力を発揮してくれます。
このような経験を毎日積み重ねることで、年少児も、自分の足で歩くことに日々慣れていきます。
クラスの中も同じです。
何かのきっかけで自信をつかみ、自立心を発揮する喜びを得た子どもたちは、周囲に困っている子を見つけたら、率先して助けようとします。
子どもの力で解決できない場合、自分のことのように先生に報告し、解決を促そうとします。
先生はそうした子どもたちの目に見える動きだけでなく、目に見えない心の動きも見逃さないように努めています。
送迎や外遊びなど、さまざまな場面で、そうした観察のチャンスがあります。
私も育子先生も、すべての先生とそうした子どもたちの成長の一歩一歩を見守り、常に情報を共有しています。
家の中とはまた別のスタイルで(つまりマンツーマンではない形で)、安心・安全の空気で子どもたちが包まれて過ごせるように見守っています。