今日から年長児の俳句がスタートしました。

最初に目をつむり、心を落ち着けます。黙想といいます。この静寂の時間を持つことの大切さを話しました。

次に、全員でしっかり先生のお顔を見て、その言葉を聞き取る時間をもつこと、その言葉を復唱すること、それを繰り返すことによって最初は耳慣れなかった言葉に親しみを覚え、やがて自然と口をついて出る不思議な感覚を味わうこと・・・。これらの経験がやがて立派な小学生になる上で大切であり、かけがえのない自信になることもお話ししました。

小学校に上がる前から漢字が書けること、数字の計算ができることも大事に違いありません。でも知識があだになることもあります。小学校にはいって、先生の説明される言葉に対し、「そんなこと、とっくに知っている」と思ってよそ見をしてはいけないわけです。

要は「興味を持って授業に臨む」集中力こそ、幼稚園時代に培っておきたいものなのです。知識そのものではなく、大げさに言えば、神聖な気持ちで知識にふれる「姿勢」を問題にしたいと思うのです。

小学校に入ると、必ずクラスでは学習が中心になります。その時間は膨大です。勉強の習慣は歯を磨くのと同じく大切であり、意識せずに身につけるべき作法でしょう。

学校の先生のお話が心にしみいるように集中すること。これをクラスの全員が心を合わせて行うこと。一人でもおしゃべりをしたら、一生懸命聞こうとするお友達の迷惑になるという基本的ルール、マナーをわきまえること。こうした心構えこそ、小学校にあがる前に全員に経験させたいと願い、本園では半世紀以上にわたって俳句を学ぶ時間を設けて参りました。

何より俳句は子どもにも親しみの持てる楽しい文学様式です。やがて皆の前で立って発表できる自信も身につけ、自分で身近なテーマをもとにして575のリズムで言葉を組み立てることもできるようになるでしょう。

私がそうであるように、大人になってから俳句の時間のことを懐かしく振り返ることの出来るように工夫していきたいです。

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