子どもは言葉の感覚に敏感です。
他の子どもの作った俳句を耳で聞いて、クラス全体が大きな笑い声に包まれることもあります。(以下に引用している園児の俳句は元のひらがなを漢字に直している箇所もあります)
ぎょうざのたれ 少し辛いけど がまんがまん
これを発表したとき、みんな我慢しきれず大笑いしました。誰もが似たような経験があるからでしょうか(笑)。
じょうずな俳句には子どもたちは素直に反応します。先日来この diary でご紹介している俳句を発表した際、日頃わんぱくな男の子もぼそっと一言、「・・ちゃん、俳句じょうずやな」と。
次のは大人っぽくて、子どもたちは一瞬きょとんとしていました。
虹の風 草が笑うよ 夢に見た
虹といえば、幼稚園の小山の上から虹が見えることがあります。園庭は草木に囲まれています。こうした子どもたちがよく知っている風景のひとつひとつをイメージさせながら、この句をもう一度紹介すると、一度目よりも具体的にどういう意味かがわかるので、頷いたり、自分が見た虹の話をしたり・・・。
子どもたちの俳句に一番よく登場する主役は虫や動物です。
かたつむりがでて あめがやんで ひとにふまれた
カエルがね あめがすきなの なんでかな
上の「かたつむり」の俳句は、これを紹介し終わったとたん「かっわいそー!」と、日頃虫が大好きな男の子が感想を述べました。身近な経験が言葉としっかり結びついています。
恐竜が大好きな男の子から次のような俳句をちょうだいしました。
翼竜が 飛んでいくよ どこまでも
草食を 食べる肉食 おそるべし
恐竜は 隕石落ちたら 終わりかな
宇宙は どこまで 広がるのかな
なんだか時空を超えたスケールの大きな俳句ですね。タイムマシンに乗ったような、宇宙船に乗ったような、不思議な時間がゆったり流れています(笑)。
園児にとって、紙に字を書くこともどきどきすることですが、俳句の形式にしたがって言葉を並べることもハラハラ・どきどきの経験なのだと思います。次の俳句は、小さな紙に改行もなく、びっしりと書き込まれていました。
あさおきて うみにいって およぎました
ディズニーランドに行って ジェットコースターにのって あそびました
きょうおまつりにいって かきごおりを たべました
きょう うんどうかいにいって つなひきして たのしかった
うみにいって なんにもないのであきらめて のみものをのみました
きょうよるだったので はをみがいて ぐちゅぐちゅぺをして ねました
たいへん子どもらしい、かわいい俳句ですね。5,7,5の枠からはみ出しても、楽しかった家族の思い出、日常の体験をしっかり自分の言葉でつづっています。
家族思いの俳句もあります。
梨喰えば 元気になるね おじいちゃん
思わず「柿喰えば・・・」のパロディかと思いましたが、家族の楽しい語らいが聞こえてくるようです。
こんなことを書いていると、今朝お当番さんが次の俳句を園長室に届けてくれました。
すずむしが りんりんないて いいおとだ
そよそよと かぜがふいたよ あきのかぜ
じりじりと たいようがてる まぶしいな
ゆきあそび ゆきにまみれた じどうしゃが
ながれぼし ひゅるんとながれ あとからも
このお当番さん自身がこの俳句の作者だったので、手渡すときちょっと照れていたのが印象に残っています。このお子さんも、自分が心で感じたことを文字で表現することが楽しいのですね。いただいた俳句の紙を見ていると、一生懸命取り組んだまじめな気持ちが伝わってきて、とてもうれしくなりました。
今後、全部を紹介することはできませんが、子どもたちが作った俳句を少しずつご紹介できたらと思っています。