雨の一日でした。

入園後2か月がたちました。年少の子どもたちも晴雨に関わらずしっかりした足取りで山道を元気に登ることができています。

幼稚園のHPに載せているエッセイをご覧ください。

4月の始業式から数え、はや半年がたちました。子どもたちは毎朝、雨にも負けず、風にも負けず石段を登ってきます。日々の小さな積み重ねは、心身の成長にとって計り知れない力になることでしょう。一方、母と子の関係に着目したとき、歩いての登園は、上手な親子の距離を保つよいきっかけになることに気づきます。

入園当初に目を向けますと、どのお母さんも一様に、我が子が一人で幼稚園に通えるかどうか心配されたに違いありません。今それが「できる」ということは、つい当たり前のことのように感じてしまいますが、やはりどのお子さんも「たいへんなこと」を日々こつこつ成し遂げておられるのだとあらためて思います。

この「たいへんなこと」と申しますのは、一般的には晴雨にかかわらず、長い距離を歩くこと、とりわけ170段の石段を毎日のぼりおりすること、と受け止められるわけですが、「親ばなれ・子ばなれ」という側面から見た場合、じつはお子さんにとって一番「たいへんなこと」とは「お母さん、いってきまーす」と元気に手を振って通園グループの列に加わることなのです。バス通園とは違い、「お母さんついてきてぇ」といくらでも甘えることのできる環境の中で、「行ってきまーす」と手を振って別れることは、子どもにとって当初は大きなハードルに思えるはずです。

それが今は何ごともなかったかのように元気よく幼稚園に行くことができているし、子どもの話を聞いていると幼稚園が大好きで、友達も大好き…。じゃあ、お母さんは眼中にないのか?と思えるほどです。しかし、それは事実ではありません。子どもたちはいつだって心の中で「お母さん」と言っているのです。

子どもたちが「行ってきます」と手を振って列に加わるとき、子どもたちの目の前からいったんお母さんは姿を消しますが、心の中ではいつも「笑顔で自分の帰りを待っているお母さん」のイメージがしっかり見えています。このイメージが子どもたちの活躍をささえる原動力になるのです。ただし「笑顔で」というところがポイントです。この笑顔は子どもへの信頼から生まれるものです。当初「この子には無理じゃないか」という「心配」はつきませんが、そのような「たいへんなこと」を我が子がやり遂げる姿を見るにつけ、お母さんの心の中には「この子はやればできるんだ、すごい!」という「信頼」が生まれます。それがお母さんの笑顔になって現れ、それがまた子どもの心の糧になっていく、という良い循環が生まれるのです。

先日の保護者会では、「いないいない・ばー」の話をしました。お母さんが両手でお顔をかくし、目の前からいったん見えなくなっても、そこにお母さんがいる、と信じられるから、子どもは「ばー」と顔を出した時に、にこにこ笑えるのです。「ばー」のときに、本当に目の前から姿を消したとしたら・・・。幼稚園の活動時間は、子どもたちにとってみれば、お母さんが「いないいない」の時間に当たりますが、「ただいま!」、「おかえりなさい!」の会話が気持ちよく成り立つことによって、子どもたちは安心して明日の活躍の糧を得ているのだ、と強く思います。

このように考えますと、子育てに成功も失敗もないと思われます。本当に大事なのは、お母さんのまなざしを心に感じつつ、力一杯活躍しているお子さんを心から応援してあげて下さい、ということにつきると思います。

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