今日は午後から天気が下り坂となりました。
ラテン語ネタを少々。
Bis vincit, qui se vincit in victoria.というラテン語の金言があります。「勝利において己に勝つ者は二度勝つ」と訳せます。プブリリウス・シュルスの言葉です。
なぜ「二度」と言われるのでしょうか。
勝負事では常に相手と自分の二種類の敵と戦うと考えられます。
相手に勝っても有頂天になっていては己に負けたことになります。
試合に負けても感情をコントロールし己に勝つなら引き分けということになります。
付け加えて言えば、試合に負けて自暴自棄になるとき、敵にも負け、己に負けるわけですから、これが最悪ということになります。
つまり、どのようなときにでも自分の心にうち勝つ心がけさえ忘れなければ、悪くて1勝1敗、うまくいけば、2章0敗です。
いずれにせよ、勝負に「負けること」はなくなります。
昨日の総合練習のリレーでは、負けたチームの走者が「〇〇ちゃんがんばって!」と大きな声を出してバトンを渡しました。
心を込めたその気持ちが痛いほど伝わり、感動しました。
一人一人、皆が一生懸命がんばってゴールを目指していると思います。
それがいい勝負を作ります。
ところで、将棋は礼に始まり礼に終わります。
負けを認めたとき、「負けました」とプロも言います。
その後、あそこはどうさせばよかったか、勝者も敗者も一緒に考え、お互いの次の飛躍のため力を合わせます。
ライバル同士が手の内をオープンにし、時間を忘れて学びあうのです。
こんな勝負事はほかにあるでしょうか。
勝ったからガッツポーズをする勝負はいっぱいありますが、将棋でそのようなことはありません。
そこに深い意味があります。
自分が前進し、成長するには、互いが互いを必要としているという共通認識があるからです。
よりよい勝負、よりよい棋譜をともに作り上げるパートナー同士だという共通理解があります。
幼稚園の子どもたちにも、勝負は相手がいてこそ力を出せること、相手がいてこそ自分も一段と人間的に成長できることを何より学んでほしいと願います。