カエサルの作品を読んでいて、幼児教育に通じると感じた箇所があり、メモ代わりに書いておきます。
カエサルはこれらのことに気づくと会議を招集した。会議にすべての階級の百人隊長を集め、激しく彼らを叱責した(「ガリア戦記」1.40)。
「これらのこと」とは、ローマ軍がゲルマーニア人との戦いを前にして怖気づいている様子を指します。
カエサルは叱責の中で、「自分たちの武勇についてなぜ希望が持てないのか」と問います。
日本語で読むとピンときませんが、武勇と訳した語はローマ人にとってもっとも心の琴線に触れる語です。
私が興味を抱くのは、ふつうなら「ダメじゃないか」という方向で話を展開するところ、「おまえたちは本来勇気ある強者ではなかったか」と語り掛ける点です。
私自身園児を前にして、いろいろな場面、いろいろな話をしてきましたが、基本は励ます言葉を選びます。
「あなたは本当のAちゃんか?」と聞くこともあります。
先生が知っているAちゃんはそんなことはしない。「本当の」という言葉は3歳の子どもの心にも響く言葉です。
ただし、気安く使う表現ではないので、状況をよく見極め、1年に1度使うか使わないかの奥の手の言葉としていつも胸にしまっています。