子供が3歳になり、どこの幼稚園に通わせようかな、と考えていたときに、ご近所さんから教えてもらったのがこのお山の幼稚園でした。当時、年子の妹もおり、毎日歩く列まで送っていけるだろうか、お弁当はちゃんと作れるだろうか、と不安もありました。
しかし、初めてお山の幼稚園に登っていったとき、そうした不安もワクワク感に払拭されるような、圧倒的に豊かな緑が私たちを待ち受けていました。そしてお山の途中や上から見える絶景!こんなところで3年間も過ごせる子供たちは幸せだろうな、と直感的に思いました。
しかし、いざ息子が幼稚園に通い始めると、行き渋る毎日…。無理矢理行かせるのも可愛そうなので、2歳の妹と一緒に私も歩いてついて行きました。最初は列のペースにあわせて歩くこともできず、グループのお友達ははるか遠くに行っているのに、息子は「眠たい。行かない。」と半ばべそをかきながら地べたに座り込む始末。2歳の妹もマイペースでなかなか前に進めません。
ドリトル動物病院を過ぎてしばらくするとグループのお友達の姿は消えて、その直線道路には私たち親子3人の姿しかなくなりました。自分も泣きそうな気持ちになりながらそれでも時折地べたに座っては休む息子とゆっくり歩みを進めていきました。そうしてようやくお山の上に到着。…そこにはなんとずっと先に着いているはずのグループのお友達が、手でトンネルを作って待っていてくれたのです。先生も待っていて下さり、お友達の手のトンネルをくぐった後、「よくがんばったね。」と声をかけて下さいました。そのとき、本当にここに通えてよかったなあ、と心から思いました。
ここで付け加えさせてもらうと、上記のエピソードに登場するお友達や先生は、特別に親切なお友達や先生ではありません。どの先生方も丁寧に、誠実に子供たちに向き合っておられ、子供たちは生き生きと過ごしています。そしてそのように大切にされる環境にいることで、どの子も、自然と心から涌き上がってくる優しさというのを持っていると思います。子供にとっての初めての社会生活を、こんな素敵なところで過ごせることを、本当に幸せに思っています。